散歩

フリークスアウトの散歩のレビュー・感想・評価

フリークスアウト(2021年製作の映画)
3.9
「普通」の生活を送れないフリークスたちのドラマを第2次大戦に絡めて迫害されてきた者たちの物語として力強く描かれた作品でした。異能に対する主人公マティルデと悪役のフランツの流れが何気に対比的になっていたのも好きでした。フランツにはもっと悲惨な最期を迎えてほしかったって思いもあるけど見方によっては彼も哀れな環境の被害者なので「まあ、アレで良かったのかな」って思うところもありました。他者を受け入れ自分を受け入れる物語を説教臭さのないおとぎ話的(というか詩的?)な作品として見せてくれたのが、今は大きな歴史的な出来事も小さな事件もその根底には断絶がある事が多いので、結構ストレートに刺さりましたね。あと、クライマックスの戦闘シーンが映像技術の使い方と編集のテンポの良さもあってカオス極まりないものになっていて最高でした。暗くて観づらい所もあったけど、明るかったらとても観ていられなかったかも知れないので個人的には良かったです。
ガブリエーレ・マイネッティ監督の鋼鉄ジーグが大好きで「ヒロシ・シバ」って名乗るシーンは観ただけで号泣してしまうくらいに好きなんですが、やっぱりマイネッティ監督って基本的に人に対する視線がとても優しいし、それもあってだろうけど「ヒーローになる瞬間」の演出が個人的にドンピシャで、後半はカオス全開な中での一瞬に何度も涙腺をやられながら観てました。特に虫使いチェンチオの成長と虫たちへの愛情が感じられたシーンには本当にやられてしまいましたね。列車内のイスラエルのとった行動も、彼も名もなきヒーローの1人なんだと感じさせられる素敵なシーンでした。
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