しょうた

土を喰らう十二ヵ月のしょうたのレビュー・感想・評価

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)
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沢田研二が終わりの方で、料理をしながら鉄腕アトムのテーマソングを口ずさむ。あれはたぶん、役名がツトムであることからの連想だろう、と後で解説を読みながら思った。

自然や食、自然の佇まいに見どころがあった。でも、松たかこの都会で暮らすマチコの人物像がもっと深められていたら、さらに見ごたえがあったと思う。
ツトムが一度は一緒に暮らそうとマチコに言いながら、やはり一人がいいと気持ちが変わったのはなぜなのか。
義母の葬式と死にかける体験を経て、一人で死について考えたいという理由は語られていたが、あっさりしすぎている気もした。
身勝手とマチコが怒ったのも無理はない。

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追記(以下、友人へのメールから)

○○さんのメールを読んで、なぜツトムがマチコと一緒に暮らすことを断ったのか、なぜ自分から誘いながら気持ちが変わったのか、考えていたことが少しわかった気がしました。
 
ツトムはマチコに命を救ってもらったことで、自分が死んだ後にマチコが一人残されることを具体的に考えるようになったのではないか。
マチコはまだ若いので、別の人生を選ぶべきと考えたのではないでしょうか。

それと、義母を見送ったことで、自分の最後も地元の人たちに発見され弔われるというイメージができたのかもしれません。
○○さんの気持ちとまったく同じではないかもしれませんが、ツトムは自由になりたかったのではないでしょうか。

でも、ツトムは絶対に自分で死ぬことはないでしょう。
義母のように自分の尊厳を守って最後まで生ききるのだと思います。

この映画は、実は孤独をテーマにした、なかなか厳しい内容だった気がしてきます。
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