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ベルファストのbibooのネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

うまく言葉にできないんだけど、なんかあったかくてずっと泣きそうになったのは登場人物たちがピュアだったからじゃないかなと思う。その中でも特に主人公のバディがピッカピカの真っ直ぐピュアで、そんな子供を育てる父母祖父祖母兄だから。「優しくフェアで敬意を払えば大丈夫だよ」と教えてくれる父と、ずる賢い可愛いジョークで女の子の振り向かせ方を伝授してくれる祖父と、強くて愛情深い祖母と母に包まれたバディが主人公だから。
家族のマインドがニュートラルで、キャサリンの宗派がなんであろうととりあえずただ好きというバディを純粋に応援する描写が微笑ましい。

宗教抗争という痛ましい事件がストーリーのきっかけではあるけど、それ以前にサッカーやガールフレンドや映画を純粋に愛するバディが微笑ましくて、あったかくて。ベルファストでちょっと検索すると色んなアーティストの名前が出てきたから、文化を愛する人が多い町だったんだろうな。ベルファスト以外の、バディの今いる世界以外がカラーで演出されていて、クラシック(白黒)な地元の良さもあるけど、ここではないどこかがカラーであることでキラキラして見えて、色んな可能性や未来を感じる良い演出だった。私はバディほど地元を愛せていないし、特定の土地に執着することもそんなにないから、バディ家族のように故郷を愛する気持ちが羨ましくもなった。

プロテスタントとカトリックを見分ける名前について語るけどどっちにもその名前の人おるやんってくだりとか、バディがカトリックについて表面的に知った噂で意気揚々と過激だと語るけど、次のシーンであんたの宗派もまあまあ過激な部分あるやんとわかる構成とか、宗教が子供の目線でほのぼの面白おかしくも描かれてる。

舐めのアングルが多いなと思ったら子供の目線だったからか。大人がやけに怖く見える。

言語が違う土地に引っ越すバディに対して「相手の話を聞こうとすればわかる。説明してもわかってもらえないなら聞く方が悪い。」というおじいちゃんの言葉も良かった。

「そう、行きなさい。振り返らずに。いつも想ってる。」と言うおばあちゃんのその精神で何事にも執着せずに生きていきたい。
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