2022/3/27
優しくて温かい人たちに恵まれて育った街、ベルファスト
この街をこよなく愛しているけれど…
しあわせな日々が崩れるのはいつだって突然
9歳のバディには大きすぎる変化だった
答えがひとつなら紛争は起きないのに
街の様子は日々悪化していくけれど
バディは大好きなあの子の隣に並ぶため
そして振り向いてもらうためと
とにかく等身大の男の子である。
あくまでもバディ目線で進んでいくため、戦争映画なのに暗くなりすぎなくてよかった
そんな彼に良い解釈を教えてくれた祖父、そして祖母の言葉が沁みる
顔馴染みで家族みたいな故郷の安心感
…けれどそんな状況を抜け出し、一歩踏み出したい父と故郷から離れたくないと嘆く母の対比をよそに状況は悪化していき、選択を迫られる
残った者たちと去っていった者たち
私自身、環境の変化に左右されやすいけれど
どこに行って何になろうと何も変わらない
それが分かっていれば一生不幸にならない
わからないのは聞こうとしないこと
祖父の言葉ひとつひとつがささる
この映画が今のウクライナ情勢と、また自分にも多少なりとも重なる部分があった
まさに今見ることに意味がある映画
モノクロだからこそ際立つ
劇場のシーンがとても好きでした
危機的状況が続いていても芸術や文化はいつもそこにあって日々の癒しだってこと
故郷を出たからといって故郷を捨てたわけではなくて
どんな変化が待ち受けていたとしても帰る場所があること
振り返らずに先に向かっても
きっとまた戻ってくる
ケネス・ブラナー監督の幼少期を元に、大好きなものをたくさん詰め込んだ素敵な作品でした。