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ベルファストのserinaのネタバレレビュー・内容・結末

ベルファスト(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

GO NOW, DO NOT LOOK BACK. I LOVE YOU, SON.最後のドアップで映し出されるユーモアたっぷりなおばあちゃん。彼女の力強い眼差しと少ない言葉には、苦労と愛に溢れた人生が詰まってる。それらが直接心に伝わってきて胸がいっぱいになる。

人はどうしても自分と違う人を見つけると排除しようとするのは、脅威に感じるから?自分の考えが正しいから、他の人も自分の考えと同じになって欲しくて、自分ができることは他の人もできて当然だと思い込んで、「常識だ」「それが時代だ」って押し付けるの傲慢だと思うのだけど。そして、そういう押し付けが憎しみや暴力に変わっていくから怖い。

でも、バディー視点でストーリーが展開してくれたおかげでほとんど穏やかな気持ちで見れた。過酷な状況下でも、いろいろな経験をした大人とまだまだ未熟な子どもでは、命の危険がある争いひとつにしても全然違うんだろうな。バディーの父親や母親視点で描かれていれば、9.5割が絶望と不安になっていただろうから。あんなに大人たちが暴れていても、映画にワクワクしたり、好きな子の隣座りたくて勉強がんばって一喜一憂してるバディーのおかげであったかい映画になってるのが新鮮。

残った者たち、去っていった者たち、命を落とした者たち。持つべきものは「優しさ」「愛」「寛大さ」であり、旅立ちへの悲しみよりも存在したことへの感謝。

最後に、個人的に好きだったブラックユーモア3選を振り返るために残しておく。

01.医者が悪い知らせが二つあると言ったんだ。「まず、一つが君の病気は24時間以内に死を招くことだ」「二つ目は?」「それが分かったのは昨日のことだった」

02.(気持ちよく腹から声を出して歌う女性に対して)「君はせっかくのお金を無駄遣いして何に使ったのさ?」「なんのお金?」「歌のレッスン代のことだよ」

03.(死んだおじいちゃんの葬儀後のこと)「大勢来てくれたね」「じいさんは人気者だったからね。それに借金もたくさんしていたし」
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