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世界で一番美しい少年のネのネタバレレビュー・内容・結末

世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「あの頃のビョルンは本当に美しかった。自分をはじめとする多くの人間が彼の美しさに夢中になり、自分の創作活動にインスピレーションを与えた。」と、3人の日本人が生き生きと語る姿は、身勝手に搾取を続けてきた50年前と何ら変わらぬ態度で愕然とした。

監督は「ベニスに死す」について、性的だったりエロティックな意味合いは持たせない、究極の愛を目指した作品だと言っておきながら、その内部でビョルン本人に行われていることは性的搾取と虐待の連続だった。
オーディションでは困惑する少年を脱がせ、仕事が詰まってくれば抗不安剤?のようなよく分からない薬を飲ませる。
日本に行けば自分の髪の毛を切ろうとする厄介なファンに出会ったり、ちゃんとした説明もないままに仕事をさせられる。
それらを淡々と語るまでになってしまったビョルンの姿がまた悲しい。そんなふうに諦観した態度を取らないで欲しいと思ってしまった。

当時のショッキングなエピソードや映像の合間合間に、現在のビョルンを映した映像や本人の語りが挟まれるが、語りの中にあまり血が通っている感じがしなかった。それもあってドキュメンタリーっぽさはなく、果たしてこれはビョルン本人の意思のもとで作られているのか?と考えてしまった。ビョルンの半生を再び貪り食う結果になっていないだろうか?
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