ルイまる子

ちょっと思い出しただけのルイまる子のレビュー・感想・評価

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
4.1
ハスキーボイスで心の声ダダ漏れのタクシー運転手の彼女はいかにも現代に存在しそうで、女性の自立ってこういうところに表れるんだなと痛感した。一昔前にも女性タクシードライバーは少しはいただろうけど、伊藤沙莉ちゃんほどに自然に自主的にこの職業を選んではいなかったと思う。本作はジム・ジャームッシュの映画に憧れた監督が作った(オマージュ?)からだけど、80年代からウィノナライダーは超とんがったタイプの勇気ある女の子だっのだが、2022年の伊藤沙莉は自然だ。今なら東京に普通に存在してそうだ!説明くささはなかったけどタクシー運転手という職業を選んだのは、旅行好きだけどどこへ行けばいいかわからない。そこにお客さんが行き先を決めてくれ、小さな旅が毎日可能だから好きならしい。そこまでお金に執着してないが、そこそこ稼げるから好きだという。私も運転大好きだし、社会的偏見と危険がないのならタクシー運転手という仕事してみたいな。お客さんに対し、タメ口しかもうるせ〜と怒鳴るのはいただけなかったが…ウィノナライダーはお客さんじゃなく、他のドライバーに対して怒鳴ってただけだから、お客さんには怒鳴っちゃ駄目だよ…

池松のダンサーはかっこよく、でも儚げで現実感なく、彼らしく幻想の世界みたいな水族館でアルバイトをしている。

少しづつ過去に戻っていくが、変に時代感を表す流行りものなどの小道具は見られなかった。しかし「ボルタリング」ってそんな前からあったっけ?(とツッコミ入れるのも野暮だが…)。

伊藤沙莉ちゃんの心の声ダダ漏れの場面と、ジェンガしながら愛って何?便利な言葉だよな〜って國村隼マスターとの会話とかめちゃくちゃ良かった。音楽も良かった!ジム・ジャームッシュのオマージュで永瀬のベンチに座るパターソンの表現は本作の持ち味からは少し浮き上がって見えたがジム・ジャームッシュがお好きなのだから仕方がない。

なんせ大好きな伊藤沙莉の良さが全面に出ている作品だっので嬉しかったです。
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