mさん

ちょっと思い出しただけのmさんのネタバレレビュー・内容・結末

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

コロナ後とコロナ前の切り替えによって、言葉や文字で語らなくてもしっかりと時代が違うんだということがわかるのが凄かった。この仕組みを映画のメイン、やりたいこととして1本作る映画も多いと思うのにそれを冒頭でサラッと見せて時代が逆転する仕組みを理解させたのが凄い。あと同じカメラワークを何度も反復させてワンセットごとに見せていくのもよかった。だけど6年はちょっと反復が多いかなと思ってしまった。出会って、付き合って、成熟して、挫折して別れて、久しぶりに会ってだけど5年くらいでできたんじゃないかなと思ってしまった。

映画「ボクたちはみんな大人になれなかった」とすごく似てて、人が出会って別れて、前に踏み出せずに引きずってしまう映画なんだけどあの映画よりも主人公の男が開き直ってなくて哀愁が漂っていたから共感ができた。出会って別れて、好きだった人が好きじゃなくなって、時間が確実に経って、ああ人生だなあって感じれたのはよかったけど、やっぱりその別れがそれぞれの人生にとっていい意味を持ってるという部分まで行って欲しかった。花束みたいな恋をしたとかはそれが感じられた気がする。

ラストの朝焼けよりでグッとくるのかもしれないけど、深夜の商店街で弾き語りをしてる人がいてその横で踊るあのシーンの方がグッときた。劇的な音楽が編集でかかってるわけでも、凄い舞台で人工的に感情を演出する光があるわけでもなく、偶然どこにでもある場所と、ありふれた路上での弾き語りが合わさって光が音楽が流れてすごく劇的なシーンになっていてそこにグッときてしまった。
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