スズランテープ

叫びとささやきのスズランテープのレビュー・感想・評価

叫びとささやき(1972年製作の映画)
4.0
もともと赤はさまざまなイメージを内包している色だと言えるが、この映画では話が進むごとに赤にイメージがどんどん追加されていく様な作品だった。

全体的に非常に生々しいベルイマン映画。ベルイマンの作品はどこかどんよりとした映像の雰囲気だが今作はドロッとした雰囲気w
真紅がその原因と言えるだろうが人間の心理描写や人間関係の描き方も独特の気持ち悪さがある。

真紅に死や暴力的なイメージを感じたと思ったら少し性的なイメージを感じる時もある。また生命力といったプラスなイメージも感じられる。そして最終的に僕がこの真紅に感じとったものは過去や回帰への羨望のようなものだった。

不気味で気持ち悪く生々しい世界観の中に視聴者の確かな共感をハッキリと提示してくる。ベルイマン作品は人間として悶々とした日々と心理に不満を抱いている人間のフラストレーションを破壊するにはもってこいの作品だと言える。

とにかく素直な監督なんだろうと思った。人間の心理を本当に鋭くありのまま表現する。綺麗事や偽りがそこにはない。芸術家の姿勢として模範とするべき素晴らしい監督。これは沼にハマりました。
スズランテープ

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