「ひとつの個性として切り離して」映画にはできたとしても、現実の私は「別人にはなれない」のだから。
自分で自分を眺め受け入れ、コンプレックスを晒したり隠したりして生きていく話。
ロマンスの話に落とし込まず、あくまで“not heroine”の人生についての映画にしているところはシリーズ一作目の「わたし達はおとな」と同じだなと。
中島歩演じる映画監督が商業的な面をちゃんと意識してるのが絶妙に軽薄で、それでいてめちゃくちゃにモテるんだろうなこの人感が溢れてるのもとても良い。
個人が抱える苦しみや社会の偏見は、絶対に彼が語る綺麗事からは見えてこない。不可視化され認識されにくいストレスは、その人の生きづらさに繋がってしまう。
個人を属性でラベリングする飛坂がいるからこそ、あくまでそのひとを見ている原田の「どっちの先輩も好きですけどね」が引き立つ。
この映画のメインではないにしても恋愛のあれこれはもうちょっと面白くしてよと思っちゃったけど、良い作品でした。
