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機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島のせのレビュー・感想・評価

3.7
安彦氏の監督する最後のガンダム。(暫定)
つい先日、漫画版『THE ORIGIN』を読んだ際には丸々カットされていた部分だったので、安彦さんがどんな構想でいたのかとワクワクしていたのだが、まさかこんなに長いドラマになっているとは驚いた。

ストーリーは日本人の、中でも戦争の話をよく聞いた世代の方らしい「戦争」の描き方や取り扱い方になっていたなという印象が強い。
核を使う側にはなるまいとするドアンのドラマがとてもミクロな所で完結しているのは趣味に合わない人もいそうだ。
特にアムロが最後にザクを棄てるシーンは、ご時世柄もあり、原作通りであるにも関わらず人によって大いに意見が分かれる点であろう。

個人的に魅力を感じたのは子ども達が増えているのに一人一人の個性がしっかり伝わってきた事だ。
年齢層も幅広く、アムロと同年代の男の子もいる事で、ドアンが最序盤でガンダムと戦った上でもアムロを「殺したくない」と思うのはエンタメとドラマの両立方法としてとても合理的に見えた。

ただ、変更点や追加要素の多くについてぼんやりとしか説明がなく、多くの疑問が解消されないまま終わってしまったのは引っ掛かる。
後で調べてみたところ、オリジン版のククルスドアンはそれのみで別途漫画が発売されていたし何なら小説も出ており、しかもそこには映画になかった描写がそれなりにあるようだった。
時間のある方はこちらもセットで読むと良いかもしれない。
でもやっぱりまぁ、その辺りは映画の中でもう少し描いてほしかったなぁ。
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