スカポンタンバイク

僕が愛したすべての君へのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

僕が愛したすべての君へ(2022年製作の映画)
3.0
君愛からの僕愛です。

なんというか、こっちは良かったな。
勿論、君愛にもあった後半のダイジェストMVには何も感じなかったし、要らないなぁと思ったわけだが、単純に青春青空映画として平均くらいの楽しさはあるし、パラレルワールド・マルチバースものの話としても「今のこの時間が大切」という結論に着地しているのが、ちゃんとしてるなぁと思った。特に、並行世界の息子から和音が絵を貰うシーンは、「今のこの時間が大切」と思いながらも羨まずにいられないキャラクターの葛藤を描くシーンとして良かったと思う。
キャラデザもカラッとしていて良かった。君僕の方は、絵が安定しない上に変にウエットで、そのアンバランスさが常に気になっていた。
あと、声優陣もこっちはそんなに気にならなかった。とにかくみんな終始ローテンションで感情の起伏がないので、そういうリアリティとして見ることができた。やっぱり演出家の演技指示の差はデカいよなぁと痛感した。
今作たちの2本同時公開で、「観る順番で印象が変わる」というのがあったと思うが、そこは私はよくわからなかった。要は、話の分岐が物語上にいくつかあって、「あ、そこで分岐して違う話になったのかぁ」とか、「あ、この伏線はそういう事だったのかぁ」とかがそれに当たるのだと思うが、片方観て意味のわからないシーンをもう一本の方を観て「あ、なるほど」となる事を「印象が変わる」って言うのは違うんじゃねえの?それは所謂「実は〇〇だった」的な後付け設定ってやつなわけで、伏線でもないと思う。ダイジェストでザックリと観てるから、そこに驚きもないというのがこの作品たちの相当弱い所だと思う。
あ、驚きがないという所だと、この2作、良い解釈をしてやれば「物語が関係して見える演出」、悪く解釈すれば「安く仕上げるための姑息な演出」で、使い回しが本当に多い。劇場で観たら4000円近く持っていかれるわけだから、成功すれば良い商売なのかもしれんが、作品として「これアリなの?」とは心底思った。
最後に、これは言っても仕方ない事だと思ってはいるが、タイムシフトのルールがよく分からない。特に分からないのは記憶の件で、確か君愛ではタイムシフトする時に記憶は失うみたいな話があったと思うが、僕愛の和音は記憶を保ちながらタイムシフトをやっていた。飛ぶ時間が近日だと記憶が保てるという事なのか?
あと、あのApple Watchみたいなタイムシフト計測器はどういう原理なのか...。虚質?が並行世界へ移動すると、移動量分の数値が変化するのは分かるが、さっき言ったように記憶を忘れて実質その世界の自分に成り替わるわけだから、結局それって自分の中に入ってる精神的な総量も質も変わらないと思うのだが、一体何をもって移動量を計測してるのか...。勿論ね、それは映画の仕掛け上、戻る戻らないのアクションを起こすための仕掛けとして存在してるのは分かるわけだが。いやしかしねぇ。w
まるで意味がわからんぞ。w

どっちか観るんだったらこっちの方がオススメです。ただ、最近だと「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」とかがもっと画面的に面白く、話も上手くやってるので、観るならエブエブの方がオススメはしますね。