糸侖

キリング・オブ・ケネス・チェンバレンの糸侖のレビュー・感想・評価

3.9
ただ淡々と事実が描かれる。ほぼリアルタイムで事件をなぞる。長いような、そうでもないような、そんな何とも言えない時間の長さ。

この事件は知らなかったので、この作品を通して知ることができてよかったと思う。

(実際の事件なのでネタバレ設定はしないが、以下本編内容を含むので注意)



そういう地区に住んでいるから、黒人だから。暴言を暴言とも思っていないような人が警官をやっている。彼は何一つ罪悪感などないんだろうな。
初めから姪と話をさせていればすぐに解決した問題。警察としては中を改めなければというのもわからないでもない。でもやり方が悪い。

あの場にいたのに何もできなかった姪のトーニャ、状況もわからず電話で話すことしかできなかった娘や息子、妹。どれほどの後悔や苦痛を味わっているのかと思うととても辛い。

市民のためでなく、sergeantだか何だか知らないけどそんな上司のために貢献しろという謎。元教師のロッシにもっと抵抗してもらいたかったし、他にまともな考えの警官がいなかったことも残念。

時折アメリカでの警官による市民への発砲のニュースが流れるが、被害者が必ずしもシロでなかったり、なんとも微妙な事件を聞くがこれは違う。メディカルセンター?みたいなところから出動要請をキャンセルされているはずなのにその情報が彼らに回っていないのもよくわからない。誤作動は少なくないと思うがその度にこのようなことになる可能性もあるわけで、何とかならないものかと思う。

"No one was indicted or charged in connection to the death of Kenneth Chamberlain Sr."
エンドロールで流れてショックを受けると同時にだろうな、という気持ちもあった。あれだけ音声記録が残っていてなぜそんなことになるのか。
しかしその後ネットで少し検索してみたら、2020年に「2012年に訴えの一部を却下したことが誤りであった」との裁決が出たそうだ。その後どうなったかまではわからなかったが、警察がやったことに対して相応の判決が下ることを願う。
糸侖

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