TANAKA

キリング・オブ・ケネス・チェンバレンのTANAKAのレビュー・感想・評価

4.7

終始胸が張り裂けそうな緊迫感があり、
やりきれない想いに涙。あっという間に
正に体験としての映画を感じた。絶対にこの感情を流してはいけないと思い見てすぐ朝4時からこれを書いている。

アメリカの1967年の暴動を映画化した『デトロイト』、1976南アフリカの反アパルトヘイトを描いた『白く渇いた季節』を思い出す。
あれから何年経っただろうか?約40年が経過してそりゃ勿論当時よりウンと前に進んだだろうけど、やはり根底にある差別はなくならないのか?と心が疲弊する。

2011年に実際に起きた事件をベースにかなり忠実に再現されており、エンドロールでは一度見た悲惨なフィクションを肉声を通じてこれは事実だ!と絶対に風化させないという制作側の意志を感じる。勿論警察が絶対悪なんて思わないし
今作を見てもそれは変わらない。けれど明確にに権力というものは存在していてそれを扱うのは人間であり、その人間はほんの少しのかけ違いや個々の能力、感情、状況によって様々に変容する。それの最悪のパターンがこの事件を引き起こしている。
そうともわかりつつも、どうしてもこの結果に呆れ、悲しみ、またその感情が偏見や敵対のムーブを取らせてしまいそうになる。
ただただ、やりきれない。

警察側(唯一歩み寄る新米、単細胞の嫌なやつ、言葉と行動が伴わない上司)もケネスを演じる俳優も最高のアクト。編集も音響も相まって本当に彼らのリアルがそこにあるようだった。
このテーマを伝える作品として最高のものに違いない。

ただ、これらに関与した警察が全員無罪なのは明らかに違和感。これは日本もだけれども、間違いだとしてもどうして裁かれずに免れる一定数の人間がいて、それが権力を握っているこのヒエラルキーが無くなることはないんかな。悲しくも
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