ミシンそば

すべての些細な事柄のミシンそばのレビュー・感想・評価

すべての些細な事柄(1996年製作の映画)
3.6
精神病院であるラ・ボルド診療所(城郭のような外観)での、文字通り「些細な事柄」を映したドキュメンタリー。二度目のフィリベール。
現代の視点から見れば驚くほど新鮮には映らないだろうが、同時に今がこの映画が撮られた時代よりよくなったかと言う質問には、間違いなく即答は出来ない。
我が国はもちろん、作られた国のフランスも。

入院患者と職員の間に隔たりがなく、皆が協力して演劇を披露する出し物が恒例行事となっている、そんな精神病院が1957年に精神科医J・ウーリーと哲学者F・ガタリの手によって開かれたって言うのは今の時代からしても(逆に今の時代だからこそ?)凄いと思うし、フランス人って本当に歌と演劇が好きだねぇって思う。
自由なように見えて病院であることを全然隠しはしないし、きれいごとだけじゃないってところも映していたけど。

監督と題材がほぼ同じ「アダマン号に乗って」を観るための予習としては、フィリベールのことを少しでも知ろうとするために必要不可欠だし、何よりも最適な解だと思う。