TaichiShiraishi

KAPPEI カッペイのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

KAPPEI カッペイ(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます


なんというか、求められていることだけをしっかりやり切っている潔い作品と言えるだろう。原作と同じく雑な「終末の戦士」の設定を手短に描くと、そのまま『北斗の拳』風の場違いな男たちが現代に放り込まれるカルチャーギャップコメディ要素で笑わせてくれる。伊藤英明の濃ゆい存在感を受ける上白石萌歌に西畑大吾、浅川梨奈らの「普通の人」演技もしっかり演出されており、ツッコミもギリギリのところでバラエティじゃなく真剣な中で生まれる自然なツッコミになっていたのも好感が持てた。

古田新太演じる師匠が修行中に話す「女子」や「恋」や「性欲」に関する話題も、下ネタすぎる部分は削除され全年齢が引かずに笑える範囲を保っており、うまくチューニングがされている。

もっと身も蓋もないことを言うと、『北斗の拳』を映像化したら、かつてのハリウッド実写版のように原哲夫の圧倒的筆力に3次元が負けていただろうが、若杉の絵柄なら伊藤英明に大貫勇輔、山本耕史、小澤征悦らの濃ゆい存在感が勝っていて、殺風を繰り出す描写もCGで迫力が増し、より笑えるようになっていた。映画ならではのクセが強すぎる「フラッシュモブ」の場面は、こちらが赤面しそうになるアチャー感があるがそれも込みで楽しめる。やはりあほらしいことを俳優たちが全力でやり切っているからこそ笑えるのだろう。

しかし、どうしても最後のオチの部分は、コメディとはいえ「それでいいのか?」と言いたくなる疑問符が残るし、エンドロールでそのまま映画に呼応する原作のコマを流すのは「再現頑張りましたよ」アピール感があって下品に思えてしまう。
TaichiShiraishi

TaichiShiraishi