TaichiShiraishi

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

とにかく「ザ・ウェス・アンダーソン」な内容が詰まった作品であり、表面的な部分だけでも圧倒的な情報量のつるべ打ちで、かつさまざまな実在の新聞記者や画家、活動家のモデルの情報も連想させるので、「自分はこれを100%理解できているのか?」と不安になってしまう要素もある。
これはウェス・アンダーソンの知識量と作りこみの緻密さが招く毎回の弊害ではあるが、予備知識どうこうを抜きにしてもとある新聞社の記事に載った「奇人変人列伝」を事細かく映像で説明した映画、とでも思って肩の力を抜いて見ても楽しい映画なのは間違いない。「あーやってんな~」と思いながら、揺蕩うように独自の映像世界に浸れば素直に楽しめるだろう。気になったことは後から調べればいい。
それに普通の映画ではありえないぐらいの豪華キャスト映画なので、ある程度映画を見る層なら登場人物の多さにもそこまで混乱はしないはず。

役者たちが自力で止まっている独特なストップ画面や、ある女優の大胆過ぎるヌード、作りこまれ過ぎている美術など、逐一止めて確認したくなる玉手箱のような映画。冷静になると「で?結局何?」と言いたくなる部分もあるのだが、鑑賞中は目くるめくウェス・アンダーソンワールドに連れて行ってくれるさすがの一作だった。
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