宇尾地米人

茶飲友達の宇尾地米人のレビュー・感想・評価

茶飲友達(2022年製作の映画)
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 実際の事件から着想を得て脚色した映画化作品。ということでこれは、人の弱さ、人が弱っていくところ。一生懸命生きてきて、いろいろあって、疲れてきたり、寂しくなってきたり、そういう人生の、現代日本人の精神的うつろいというか、日本人が抱え込む静寂や感傷をじっくり捉え、映像のエネルギーとなって放たれてくる。

 カラダの仕事していくこと。男の性欲。年をとっても性欲。それもジジさんとオバさんたち。なんてイヤらしい映画だよと思っていました。しかしただ淫らなだけの時間で終わらなかった。日本人のヒューマニティがじわじわ出てきた。いろいろな人が出てきますが、中心となるのは岡本玲さんと、磯西真喜さんのふたり。さらに海沼未羽さん。瀧マキさん。鈴木武さんら、老いも若きも、いろいろな事情や人間臭さが集っては滲み出てきて、すっかり目が離せない劇模様となっていた。

 『ワイルド・スピード』シリーズがアメリカのファミリー映画なら、これは日本のファミリー映画。溝口監督の『赤線地帯』みたいな、驚くべき女性感覚がよみがえってくるようです。つまり外山監督はジャスティン・リンやジェームズ・ワンに引けをとらないほどの日本代表監督だと思いました。
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