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弟とアンドロイドと僕のkabcatのレビュー・感想・評価

弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)
3.6
阪本監督はときおり商業映画とは一線を画すユニークな作品を発表するが、この作品もその一つと言える。昭和40−50年代あたりの日本映画のようなオープニングから期待は高まり、主人公の異様なキャラクターと暮らしぶり、不穏に降り続く雨、グロテスクな美術など「雰囲気」はわかるのだが、両親に愛されなかったゆえに自身のアイデンティティが確立できず、もう一人の「ほんとうの自分」を作り出すことで解消しようとする、というストーリーはわりとまともであり、『団地』のような爆発力は感じられなかった。とはいえ時代に逆行するような映画づくりに挑む監督の姿勢には好感を持っています。

個性的な人物を演じる豊川悦司が好きなのだが、今回も彼ならではのキャストだろう。ただアンドロイドが題材だけに実在の大学教授をすぐ思い浮かべてしまったのだが、そんなに風貌を寄せなくてもよかったのでは‥ 安藤政信もこういう嫌な役のほうがハマって見える。本田博太郎って昔は青春ドラマでさわやかな先生とか演じていたのにいつのまにこんなキャラになったのかしら笑。今回の役どころはちょうどいい感じでしたが。謎の少女役の片山友希さんは記憶に残るルックスですね。
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