指の小指

オッペンハイマーの指の小指のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

1.FISSION(核分裂)
1954年に開かれた“原爆の父”ロバート・オッペンハイマーの聴聞会を軸に、彼の過去回想も含む一人称で捉えた視点。

2.FUSION(核融合)
1959年の公聴会におけるルイス・ストローズの視点、及び彼の過去回想がモノクロで描かれている。

大きく分けてこの2つの場面が、時系列は違えど重なり合っていくことで話の全容を顕にしていく構成。そして、それぞれが主観・客観を兼ね備えており、相手視点に立つと映る見え方の違いも興味深いものがありました。

学生時代から垣間見えるオッペンハイマーの危うさ、脆さ。持ち前の言語スキルや熱意で次第に周囲を引き寄せ、結果的に彼の絶頂とも言える“トリニティ実験”までを描く前半部。

“リトルボーイ”と“ファットマン”が実戦使用され、この頃から自らの言動に矛盾が生じ始めるオッペンハイマー。後半部では政治的な思惑と裏腹な対応が、“赤狩り”の時代の中で彼を社会的にも追い詰めていく展開が描かれます。

終始、彼の脳内を覗き見る様な表現の数々が心に残りました。アインシュタインとの会話の中で水の波紋が恐ろしい“火”に見えるシーンは「パンドラの箱」を含めプロメテウスを想起させる部分。

2023年現在、地球上に存在する核弾頭は推定約12,500発とのことです。

“我は死なり、世界の破壊者なり”
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