最近のノーラン映画ではダントツに良かったです…！物凄く金のかかったドキュメンタリーみたいで、そういうの好きな人には刺さる作品かと。ある程度の史実の予習は必要です。
ただ、肝心要のVFXは良くない。そこは実写にこだわるのが裏目に出てました。
まずキャラクターですが、話運びのコマくらいにしか考えてない雰囲気あるノーランですが…いやはや今作はしっかり…というか、すごく良かったです…！特に各キャラの葛藤がしっかり描かれていて…感動すらしました。音楽も効いてますね。平場のシーンでもエモーショナルになってます。主役キリアン・マーフィーはもちろん、ダウニージュニアも完璧でした（オスカーでの振る舞いが、違う意味でキャラクターにフィットしてましたよw）なんか原作がとんでもなく詳細みたいで…オッペンハイマーの描写が。だからですかね、さすがのノーランでもしっかりキャラクターが活き活きしたものになっていました。思えば過去作で唯一良かったジョーカーも、キャラとしては原作で固まっていたし…ゼロからキャラクター作るの諦めて、そもそもあるキャラクターか、もしくは誰か別の脚本家に考えてもらったほうが良いような気がしますねw
環境はIMAXが必須…ではないと思いますが…というのも、絵的にIMAXが栄えるシーンがほぼないので…なんですが、IMAXが良いと思いますw！矛盾なんですが、良くも悪くも、テンポは早いんですが、かなり平坦なんですよね展開的には。会話劇ですし。なんで、眠くなると思います。そこをIMAXだと、ドーン！と音響も凄いし、風景の映像もやたらめったらドーン！とIMAX画角になるしで…眠くなる暇がないのです。その意味で没入感はIMAXだと思います。
IMAX繋がりで…今作、ここが良かったら傑作になったと思いますが…国内最高峰の環境で見たにも関わらず、肝心要のマンハッタン計画のトリニティ実験の描写が思ったより……
しょぼい！！！
ここが致命的かと…もっと心の底から恐怖を覚えるくらいな見た目、音響にしてほしかったし（そここそが映画にする意味だと思うし）、こんなものが存在したらダメだ！と伝わるくらいのシーンにしてほしかったです。ノーランとハンスジマーなら出来たのでは…と思いました。実写にこだわって核実験を描写するのは矛盾しててそもそも無理なんで、そこはもっとCGをしっかり入れても良かったと思いました。核の怖さの表現なら、ターミネーター２の方が怖いですもの。それじゃあ大金掛けて今作る意味ないと思います。
巷で言われる日本の描写は、日本人として見ているのが苦痛な会話や、キーワードが出るときのなんとも言えない感情になる部分も正直多かったですが（特に後半は）、見る前に思ってたよりはしっかりノーランが真摯に描いていたように感じました。ノーランの事だから、どうせ信じられないくらいリサーチはしたと思うんですよね。多分。そのうえでこの描き方になってんだったら…まあいいかと。広島や長崎に来たりしたのかな？このテーマの映画作るならそれくらいはやってほしいけど……。爆発の描写として直接的に見えるシーンとしてしっかり入れた方が良い…って話もあると思いますが、オッペンハイマーが「日本の惨状をスライドて見た」って部分である程度伝わりますし、全部が全部、描かずに想像させるのが映画ですし。ドキュメンタリーいっぱいありますし。そもそもオッペンハイマー本人をメインにした伝記ですし。いまは調べようと思えばすぐに調べられるので、日本人以外の人達が、今作見たあとに調べたり、旅行にいったときに資料館行ってみようか…とか思ったらそれで良いのではないかと思います。
今作くらいのキャラクター描きこみありつつ、実写にこだわって表現できるくらいのビックリ映像アイデアがありつつ、エンタメに振り切るのが次作だとしたら……ダークナイト超えの傑作が出来るんじゃないでしょうか。頑張ってノーラン！！
