きなこ

オッペンハイマーのきなこのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

★記録用

基本的に人の顔(特に外国人)と名前を覚えるのが苦手なので、確かに登場人物は多くて完全について行くのは難しかった。
ただ、顔や雰囲気が似ている人が多い訳ではなく、ちゃんと登場人物に個性があったから、誰かは覚え切れていないけどきっとこの時に出てきた人っていうのがわかるくらいに実は親切に作ってあったのがすごいと思った。

最初の描写はわかりやすく説明シーンなのに違和感はあったけど、後から思うとそこであえて期待値を落としたのかなぁと思うと計算されすぎて怖い。

理解できてないところがたくさんあるのにちゃんと面白い(表現が正しくないかも)。なのにきっと3割ぐらいしか味わえてないのが悔しい。次はIMAXで鑑賞したい。
きっとこの映画が配信されても家では観ないだろうと思うのに映画館なら何度でも観たいと思うのは観る意義があると思うからだろうか。
なんでなのか上手く言語化できない。

今まで断片的にしか習わなかった原爆の歴史が、こんなにも鮮明に当事者として体感できるものなのか。時代が流れて被爆者がいなくなってしまう今だから、アメリカ側から描くことができたのだろうと思う。
人によっては言い訳のような正当化のような受け取りにもなるかもしれないけど、それでも原爆の恐ろしさを、戦争の無意義さを改めて考えさせられる機会をもらったように感じる。

まるでその場にいたかのような、自分の記憶だろうかと感じるくらいリアルだったのは最初の構成が効いてるんだろうか。

随所の表現力、それに対するこだわりが凄まじいし、原爆の後の話から、張り巡らされた伏線でもう1展開見せるのが流石だな思った。

それが正しかったかどうかは別として、オッペンハイマーが発明家として大きなことを成し遂げたのは事実で、それに伴う代償も大きかっただろうなと
この映画にもかなりの投資をしてただろうし賭けだったのかもしれないけど、なるべくして賞をとったという感じがすごいと思った(語彙力…)

絶対に映画館でもう一度観たいけど、初見の感想も残しておきたかった。
本当はまだ噛み砕くのに時間がかかりそうだけど…




★4/7追記

IMAXで鑑賞。2回目にして1回目とここまで見え方が変わった映画体験は初めてでひたすら感動した。映画に対する価値観?視座が上がったように感じた。あぁ映画オタクはこうやって生まれるのか、と。
一緒に観た映画好きは当日インセプションを見て同じことを感じたらしい。ノーランの手腕にまんまとハマった

1回目は第三者的な立場で、オッペンハイマーで語る原爆の話がメインという印象だった。わからないことは多かったけど、元々自分は人との会話を全ては理解できていないことも日常であるからそんな感覚だった。笑

2回目はオッペンハイマーの立場で見れた。
「この世界のさらにいくつもの片隅に」を家で鑑賞(初見)したのちIMAXに向かった。
原爆を落とされた側の話をみて、日本人として感じることが増えるのかと思ったけど
それよりも、原爆がどの国よりも身近な日本人だからこそ、その恐ろしさを一番知っているオッペンハイマーの感情に少し近づけた気がした。
原爆の実験が成功した時、科学者として理論が実証された喜びと同時に湧き上がる生み出してしまったものの重み。歓喜する周りの人達とのギャップ。元々示唆されていた問題とはいえ、起こる惨事がわかっているのに止めることができない無力さ。
ストーリーが前回よりも理解できた分、オッペンハイマーに感情移入して前半と後半で精神がぐちゃぐちゃだった。笑

原爆の話を描くなら前半だけで十分だったと思うけど、オッペンハイマーの話を描くには後半も必要だったんだろうと思うし、これをここまで映画として成り立たせられるのはノーランだけなんだろうなと思った。

人物や話のトリックを理解してから観ると驚くほど話が入ってくるのも本当にすごい。
1度で理解できる人ももしかしたらいるのかも知れないけど私には無理だろうな。


本当に素晴らしい映画体験でした…この映画に出会えて良かった
ただどうしても人に勧めにくいので、再編集して対象年齢を広げたバージョンもあればいいのになと思う
きなこ

きなこ