ニャキヤマ

オッペンハイマーのニャキヤマのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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クリストファーノーラン監督最新作。

公開まで色々あった経緯に「ありがと〜ビターズエンド!」という事で有り難く鑑賞出来ました(鑑賞後は紆余曲折は当然だと思いました)。
張り切ってレーザーIMAXで鑑賞しましたが画面の大きさは関係なく、音が良い所であれば何処でも良いかなと感じました。

ノーランは全作品観てますし、「メメント」は当時劇場で観て「才能溢れる監督が出て来たなー」と思いましたが、その後の作品には色々と思う事があり「メメント」ほど好きな作品(当時映画批評をやってられた芸人の某松本さんが「しょーもない内容を編集・撮影で面白くしてるだけ!!」と断じていて、「え!映画ってそーいう物なのでは!?」と憤りを感じた記憶があります)に出会う事もなく(「ダークナイト」はヒースレジャーの好演?怪演?もあり別格)、本作に関して「名匠が撮る〜」とか「みんな大好き!ノーラン!」と言われると「どちらかというと良い所もあるけど欠点の方が目立つ監督だと思うし、シネフィルからは鼻で笑われている印象があるのだが、、、」という印象です。
全作品通じて兎に角映画が大好きなんだろうな〜というのは伝わりますが、どれもメッセージ性を余り感じなくて、いつも鑑賞後は「オレって何にも言ってねー!」(ブギーバック復活おめでとうございます!)と感じてしまいますが、ソレを逆手に取って映画"風"に踏み切った前作の「テネット」は非常に興味深い作品でしたし、なんだかんだで楽しめました。

そして本作は「メメント」の次に楽しめた作品になりました。

事前情報で難解とありましたが人物配置さえ予習しておけば、ノーラン作品の中でも非常にわかりやすくテーマも伝わる作品だと感じました。
※「シンゴジラ」のようにシーンそのものを完全に理解しきるのではなく「今こんな流れだなー」程度に見流せば、結構理解はできると思いました。
またオッペンハイマーと監督自身のシンクロが高く(信念が特になく"作る“事そのものにしか興味がない)、その点に置いても違和感なく伝わりやすかった気がしました。

不満点は一連のオスカー炎上にもあったロバート・ダウニー・Jrは助演をとる程の好演なのか?といった点や、高橋ヨシキさんの指摘にもあった劇中の「トリニティー実験」はアンチCGIの監督の拘りはわかりますが、流石にもっと迫力をつけて演出した方が説得力を増したのではないでしょうか。

全般的にノーラン"らしさ"が余り見られない作品でしたが、ラストは良い意味で少し"中二病"感溢れたシークエンスで「ノーランっぽい!」と思わされ、扱っている題材がシリアスなだけにアレですが3時間弱があっという間で楽しめましたし、やはり現存する作家の中で"語り甲斐"という意味では群を抜いてる稀有な監督だと改めて感じました。
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