このレビューはネタバレを含みます
原爆の父と言われたオッペンハイマーの人生。彼の視点で描かれた1人称の脚本らしく、彼が見たもの以外は出て来ない。なので広島や長崎の惨状などはほとんど描かれていないわけだけど、それを「原爆が落とされた日本」の人たちにとってはどう受け止められるだろう。私も最初はあまりにも淡々と終わってしまった物語に、日本に寄り添う作品ではないなと感じたけれど、いろんな解説を聞いたり読んだりする中で、とても弱く脆かったオッペンハイマーという人が、自分のしてしまったことへの後悔を抱え、苦悩する姿がきちんと描かれており、アメリカが作成した作品としても「反戦映画」として、「原爆を落としたことは間違いだった」という結論を持って描き切られていることに関して理解し、納得するものがあった。
作り物のお話ではなく現実の人々は勧善懲悪なんてものはなく、それぞれが自分の正義を追い求めて生きていて、ものすごく悪者もものすごく善人も存在しないんだなということを実感したし、それは見る側の視点によって大きく左右されるものだと思う。
ノーラン監督が撮りたかった、「オッペンハイマーの人生を擬似体験させる」は確実に体験できたし、私も3時間の間振り回され今でもどう考えても出ない答えをグルグル考え続けてる。昔は分かりやすい作品が好きだったけど最近は見た後に調べて奥行きが出る作品が好きになってきた。ノーラン監督の作品特有の余韻が私は好き。
また、もうひとつのテーマとしてある「人は知らなかった頃に戻ることは出来るか」という知識欲と、知識の怖さについても考えさせられるし、彼が原爆というものを作り出したことで世界は一生核の恐怖と対峙していかなければならなくなり、どこかが核を持てば違う国も同じように核を作る。知らなかった頃には戻れない、その怖さも感じた。
なにより、とにかく、久しぶりのジョシュハートネットを大画面で見れたこと！！！これが私の中ではかなり大きい😭😭ジョシュは私の映画熱の根源であり父との思い出であり、青春そのものなのでただ彼が映っただけで泣いてる自分がいた😭😭このオッペンハイマーという大作に出て、しかも結構重要な配役だったので、ハリウッド完全復活を遂げ、これからまた活躍してくれることを願います👏大好き！！
最後に、作品賞初め、監督賞その他もろもろ獲得おめでとうございます。
