ブサ猫太郎

オッペンハイマーのブサ猫太郎のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
第二次世界大戦で原子爆弾を開発し、多くのアメリカ兵を救ったオッペンハイマー。原爆の父として名を残したオッペンハイマーであったが、その裏では果てしない化学への恐れと生み出したモノへの苦悩を抱えていた。そして、その重責は終戦後も続いていた…

理論物理学者のオッペンハイマーは、原爆を生み出し多くのアメリカ兵を救った反面、無慈悲な兵器を生み出した苦悩を抱えていく…

皆さんご存知アカデミー賞で最多7冠を受賞した傑作『オッペンハイマー』。海外の評価が高くずっと気になっていた作品の1つ。けれど、原爆というセンシティブな内容やちょっとした問題で日本では今になってようやく公開。それでもやっぱり色々問題があるのか、まだ公開されてから1週間ちょっとしか経ってないのに近くの映画館では1日1本だけ。みんなそれで見るしかないから満席状態でちょっと暑かった。

そんな思いをしながら鑑賞した『オッペンハイマー』。原爆を開発した博士、それを利用するアメリカ目線で描かれた内容は日本人として悲しくなるところも…特に原爆開発が成功した後に開かれた祝賀会で日本について言及したシーンは1番辛かった。このシーンについては日本人だから殊更思うところがあるっていうのを理解した上で、300年積み重ねてきた物理学の集大成が兵器だと言うことをオッペンハイマーたちが喜んでいるのは悲劇だと思う。

生み出してしまったモノに対してどう責任を取るのか。オッペンハイマーの葛藤から学ぶことができる点において観る価値のある作品だと感じる。

もちろんそれ以外の点についてもこの作品は素晴らしく、原爆の映像や音の衝撃は恐ろしいと思う反面涙がでるほど美しく描かれていた。