おかもと

オッペンハイマーのおかもとのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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現代的なテーマを物凄く盛り込んでるんだなと思ったけど、突然日本が標的にされるまではサンスクリットセックスが一番印象的で、なんとなく悲しかった。でもあの非理性的で魔術的な感じは、理論物理学による原爆の開発と振り子の関係を作りながら根源的なことを問いかけているように思えて、これはすごく重要な問いかけだった気がする。
個人的にはスピリチュアルな映画にも思えた、科学的宗教というか宗教的科学というか…

当事者性と責任意識には関係があり、当事者として責任を負わせてもらえないこともまた辛いことだというのも、話の中に含まれていたのかなと思う。プロメテウスと化したオッペンハイマーの呵責は想像を絶し、アインシュタインの呪詛は受け止めきれず、自分が原爆の当事者でないことを思い知る。
僕もなんちゃって被爆3世やけども、にも関わらずこの程度しか原爆に対する実感的理解を持ち得ていないことを思うと、原爆に対する現代社会の実感的基盤はとても危うい気がして結構怖い(まあ僕の感受性がゴミクズレベルまたは個人主義が度を過ぎてるだけなのかもしれないが)。経験ではなく歴史に学ぶということの難しさをこの辺りに感じる。