「爆弾は悪人も善人も無差別に吹き飛ばす。」
自分たちを滅ぼす兵器を自分たちで開発してしまった、愚かな人間たちのお話。
原爆を生み出した天才、オッペンハイマーの成功と苦悩の日々。原爆開発に成功して、その後ソ連のスパイの疑惑をかけられて聴聞会が開かれる様子。原爆が完成されていくのも、実際に日本に落とされるのも、結局人間の妬みや嫉妬が関わってくるのも、ずっと苦しかった。
科学者の仲間が集まっていく様子も、みんなが協力して実験が成功に近づいていくシーンも、展開はワクワクするはずなのに、その先の「結果」を知っているからやるせないし涙が止まらない。画面の盛り上がりがむなしい。
人が大喜びしてるシーンでこんなに悲しくて泣いたのは初めてだと思う。
この開発のせいで日本でどれだけの人が苦しんで、世界のどれだけの人が今も恐怖にさらされているのか。
爆弾についての討論、爆弾開発についての会議、それをどこに落とすかの会議、すべてが「人を殺すための話し合い」なんだと思って、本当に怖かったし、許せなくなった。苦しかった。
聴聞会と公聴会のシーンが時系列バラバラで描かれているのでいろいろややこしい。カラーと白黒だからこそギリギリ理解できたと思う。めっちゃ「メメント」思い出した。
核融合やウランの話の科学的な知識や、聴聞会や公聴会、共産党員を狩る「赤狩り」、ソ連やナチスとの関係性、日本が世界にどう見られていたのかの歴史的な知識。自分に足りないものが多い上に婉曲的なセリフも多くて、観ていて「今何の話してるのー！」って何回もなった。
細かい難しいところはよく分からなかったからこそ、「戦争はやっぱり絶対してはいけない」っていうシンプルな感想が頭に残った。
敵国との兵器開発競争を理由に、オッペンハイマーはどんどん原爆開発を進めていく。人類が滅亡に近づいている様子をみるのは本当に怖くて辛くて、ずっと体に力が入った。こんなことしてはいけない。終わらない。
兵器開発競争のおそろしさを目の当たりにした。命じられて懸命に爆弾を作ったオッペンハイマーに同情してあげられない。
誰も悪くないし、みんな悪い。とにかく戦争は絶対にしてはいけない。
もう一回観たいけど怖いからもう観たくない星つけるのむずかしいーーー
