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オッペンハイマーのMashOのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
日本人にとってはナーバスな題材である原爆開発の舞台裏というか開発に中心的に携わったオッペンハイマー博士の栄光と没落を描いたもの。
テーマから鑑賞を躊躇していましたが、見ずに批判することはできないと思い、またアカデミー賞受賞作品なので観て来ました。
クリストファー・ノーラン監督作品で映像、音響効果はどうかな?と、Dolbyで鑑賞しましたが、確かに爆発実験の際の音響には迫力がありました。
内容はと言えば、ナチスドイツに対する危機感からの原爆開発がドイツ敗戦にも関わらず、ソ連に対する原爆開発競争のもと、早期の終戦と言う表向きの理由でついには日本に原爆を投下する流れにはやるせない感情を禁じ得ませんでした。
また、広島への原爆投下のニュースに狂喜乱舞するアメリカ国民に怒りと言うか吐き気さえ覚えました。
ただ、翻ってその後の冷戦から昨今のロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ地区攻撃などまで何が正義なのか、与えられる情報によっていとも容易に受け止め方や考え方は変えられてしまうと自戒の念も込めて考えさせられました。
主人公のオッペンハイマー博士は精神的にも脆い若手天才科学者から単なる科学者ではなく、ナチスに対する危機感から原爆開発に邁進すること、開発成功の賞賛に戸惑う様子、原爆投下の惨状を知り水爆開発に反対するようになる様など、人間臭く、ある意味時代に翻弄された一介の人間だったと言う事でしょうか?
クリストファー・ノーラン監督は本作でいろないろな考え方を自由にして欲しいと、種を仕込んであると感じました。
結論としては、鑑賞して良かったです。
彼が呼びかけたゴジラ-1.0の山崎監督はノーラン監督に対するアンサー映画を作るか楽しみです。
処で3時間の長巻の本作ですが、数箇所男女の絡みがありましたが、ストーリー展開上必要か疑問でした。そのシーンが無ければ数10分短くなり、R15指定されなかったのでは?そうすれば感性豊かな中学生にも見せられたかもと思いました。
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