バリカタ

テレビで会えない芸人のバリカタのレビュー・感想・評価

テレビで会えない芸人(2021年製作の映画)
3.5
「さよならテレビ」の阿武野プロデューサー制作作品。期待しましたよ。テレビに出なくなった松元さんの状況を媒介しテレビ界の闇、、、政治や行政の監視、番人の役割ができていない、、、という問題提起と現実を見せる雰囲気もありながら、結果松元さんのネタ紹介、人物紹介、生き様紹介に終わっちゃったかなー?って感じ。

なぜテレビに出られない?出なくなった?なぜ敬遠される?スポンサーや政府ひの忖度。そんなのわかりきってるやん。もう一つ深掘りしよ!今、番組を作ってる人は何考えてるか?あったけどね、声は。だけど、抉り方が甘い印象。

けど、無理か、社会派ドキュメントじゃないもんね?松元さんのネタ、彼のネタをつくる理由が我々が何処かに置いてきた気持ちであり、見て見ぬふりしてる現実。政治風刺ネタで笑って満足か?笑われる政治を変えて満足するか?結局僕たち国民次第なんだよな。少なくとも、松元さんは闘ってる。僕たちはどうか?(本作直後に鑑賞した「香川1区」で保守日本の底力を見て絶望を感じもしましたが)

あと、ネタ作りの裏見たかった。特に政治風刺のネタの。秀逸かつ情熱が注がれているであろう「憲法くん」のそれが。芸人だから、舞台裏は見せちゃだめなんだろうけど、笑いに換えるネタ作りにこそ松元さんの想いが集約してると思うから。その気持ちは共有したいなって思ったのです。その点でも一歩足りなかったんじゃ?って思うのです。

本作は一人の芸人の存在を知らしめる目的が全てなんでしょう。あくまで「気付きをあたえる」ってことかな?
ネタが最高に面白く胸に迫り考えさせてくれる彼のステージを見に行きたい!って気持ちになりました。そんな思いの人が増えていってほしいと思うし、そして本作が大河の一滴になり、国民が次第に考え始め、動き、今と違う社会になっていれば良いなぁと思うのです。できるんじゃないかな?(本作直後に鑑賞した「香川1区」で日本人の底力を見て希望を感じちゃうのです)

良い作品でした。