はる

シラノのはるのレビュー・感想・評価

シラノ(2021年製作の映画)
4.0
切ない!でも美しい!!

今回の脚本はもともとの戯曲からかなりアレンジされてるらしく、オリジナルのファンからはキャスティングの面などで賛否両論あるそうですが、オリジナルを知らない私としてはとても感動できました。

シラノは騎士として強く、文才とユーモアに溢れる男であるのに愛する人の事となると自分の小人症の姿のことにひどくコンプレックスを抱き臆病になってしまい、長年ロクサーヌという女性に対して想いを伝えられず片想いをしています。そんな中ロクサーヌはクリスチャンという男に一目惚れし、二人の仲を取り持ってほしいとシラノに話し、クリスチャンに手紙を書いて寄越すように頼んでくるんですよ。というのもロクサーヌというのは言葉を愛する女性で、クリスチャンはきっと運命の人に違いなく私の求める言葉を綴ってくれると信じているからなんですよね。ただ残念ながらこのクリスチャンは口下手で文才もない男。そこでシラノがクリスチャンの代わりにロクサーヌ宛ての手紙を代筆するところから風変わりな三角関係が始まります。

主人公のシラノを演じるのは『ゲーム・オブ・スローンズ』のティリオンでおなじみ我らがピーター・ディンクレイジ。ピーター・ディンクレイジ大好きなんで、正直彼が画面に映ってるだけで嬉しくなっちゃうんですが、さらにヒロイン役のロクサーヌを演じたのがヘイリー・ベネット。最近だと『Swallow』が記憶に新しい彼女も個人的に大好きな女優で、推しが二人も出ているという最高の舞台が揃っちゃってるんですよね。そこに品のある豊かな楽曲の数々、羅列される詩的な言葉、何よりもピーター・ディンクレイジの表情の素晴らしさ。決してハッピーエンドにならないと予想出来てしまっていてもラストシーンで交わす二人のキスシーンで涙堪えられず!エンドクレジットではザ・ナショナルの楽曲が華を添えます。

ミュージカル映画は好んで観る方ではないのですが、本作はとても楽しめました。オリジナルの戯曲の方にも手を伸ばしてみたいと思います。
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