ユーライ

イニシェリン島の精霊のユーライのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.3
精霊なんてタイトルにあるからファンタジーなのかなと思っていると、いい年したオッサン二人が些細なことで仲違いするしょうもないミクロな問題が延々と続くので驚かされる。「お前との馬鹿話よりもっと有意義に人生を過ごしたくなった」なんて思春期みたいな理屈が、日常系アニメ最終話手前のノリ。ただ本当に指を切り落とすから洒落にならないし、うじうじ悩むのは美少女じゃなくて夕飯を妹に作ってもらわないと困る片田舎のショボくれた親父だ。中年の危機と書けば聞こえはいいが、どっちも心はガキのままだ。これは遠い異国のお話では決してなく、日本のそこら辺でも繰り広げられている揉め事だと想像する。その証拠に『八つ墓村』みたいなババアが不吉な存在感を振りまいていく。あんたアイルランドにもいたのか。ジャンルとしては田舎にいると頭がおかしくなるよ系ではありながら、本当に気狂いになるギリギリ手前で止めている感触が味。終盤になるにつれていつ暴力が発動するのかハラハラさせるが、直接画面に映ることはない。内戦とリンクさせた寓話としても読み解けるけれども、カプ厨としてはいかにも殺し愛なイチャコラBLでしかなかった。本当に申し訳ないと思っています。
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