もちもち

イニシェリン島の精霊のもちもちのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
3.0
1923年、内戦に揺れるアイルランド本土を尻目に、自然が溢れる平和で小さなイニシェリン島。毎日一緒にパブに行く親友同士のパードリックとコルム。しかし、突然コルムから絶縁を告げられ面食らうパードリック。妹のシボーンや変わり者の青年ドミニクの力を借りながら復縁を目指すも事態は好転せず、更に悪い方向へ向かっていく。2人の中年男の仲違いを静かに淡々と描いた風変わりな映画。「スリービルボード」のマーティン・マクドナー監督だから、思わぬ方向に物語が展開されていくのかと思っていたが、そんなことはなく、ひたすら拒絶するコルムと仲直りしようとするパードリック、それだけの話だった。お前は良いやつだがつまらない、ちょっと残酷な理由で絶縁されるパードリックはかわいそうだが、まあそういう人いるよなと共感もできる。何度も仲直りしようとするパードリックの様は見てられないし、絶縁したいからと自分の指を切り落としていくコルムも狂人にしか見えない。結論どちらにも感情移入はできず、展開の緩やかさと冗長さにつまらないと感じてしまった。雄大で美しい自然の中でしょうもない争いを繰り広げる2人の様は滑稽で物悲しい。この物語は悲劇なのか喜劇なのか。全員が顔見知りの小さなコミュニティで諍いが起きると逃げ場がなく息苦しい。田舎にありがちなそんな嫌な部分はリアルだった。もう少し歳を取れば、この映画の深さや良さが分かるのかな。
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