たいが

イニシェリン島の精霊のたいがのレビュー・感想・評価

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)
4.0
これを観てから何日か経った後も、この映画のことが頭から離れなかった
考えれば考えるほど新しい発見や気付きがあってこの映画の奥深さを実感してる

さて、この映画はパードリックがコリンに絶縁を言い渡されるところから始まるのだが、この2人には明確な価値観の違いがある

パードリックはひとことで言えば楽観的で保守的。
彼の言動からも分かる通り変化を好まず、自分が好きな心地よい空間を守ろうとする
彼が大事だと思うのは"優しさ"

逆にコリンは自分の今に対して問題意識を持ち、それを積極的に変えていこうとする
彼が大事だと思うものは"芸術をはじめとした仕事も歴史に残るような価値のあるもの"

なんかもうこれを見るとなんでパードリックとコリンが仲が良かったのか疑問でしかない

そしてコリンが自分に残された人生の時間を考えた時に彼の思う価値の感じない退屈なパードリックには時間を割きたくない!と絶縁を宣言する流れになってくる

また、コリンがなんで「おれに話しかけたらおれは自分の指を切り落とす」と過激極まりないことを言ったのかというところだが、自分がコリンと似た考え方の人間ということもありめちゃくちゃ理解できた
これは、自分が加害者にならずに相手のことを傷つける手段を取りたいからだ

そうすることで罪悪感を感じる事なく相手にダメージを与えることができる
その証拠に終盤に起きるロバの事件ではコリンは酷く罪悪感を感じている

さてそこからはお互いがどんどんエスカレートしていってとんでもないところまでいってしまうのだが、些細な個人間の断裂が取り返しのつかない事態にまで発展してしまう恐ろしさをひしひしと感じる映画だった
たいが

たいが