本当に大事なことがよく描かれた作品だと思う。
本作の山場を迎えるシーンについて、厳しい言及を見かけて、自分の心に強く届いたことと少し違ったのでそこを言葉にしておきたいと思った。
受け取ったのは、「その時点では不遇とか、不幸とか、悲劇とか、そんな言葉で表されるかもしれない容赦ないことは、ぜったいにある、どうしても起こってしまうことがある」ということ
これを作者だって物語のために「与えたかった」わけではないだろう、とわたしは思う。
彼が途中で大きな壁を乗り越えたように、きっと何かの意味になって、彼の人生の礎になるのではないか。もちろんその礎を決めるのは本人なので外野からの勝手な願いではあるが、きっと私たちの心を揺り動かすものとなって結実するのではないか、と感じてしまう。私はそれを祈り続けたい。