レビュー王子

BLUE GIANTのレビュー王子のネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

音は生まれた瞬間に消えてしまうものなのに、こんなに感情を揺さぶるのはなぜなんだろうと思います。飛んだり跳ねたり、染み込んできたり、すべてをかっさらっていったり。大の演奏は、そういう意味で全てが力強く、圧倒してくれる、ヒーローみたいな鳴りで、音の上でも主人公だと思いました。

一方で、雪祈はとことん人間でした。技術も才能も経験もあるのに、勝つ音楽を考えて、信じるものがなくて、音が届かない。支配人から酷評ともよべるダメ出しをしてもらえて、ライブシーンのどん底から這い上がってくる。その経験自体が音になる。大学生であそこまで言われて「言ってもらえた」と思えるなら、初めからもっと謙虚な人間だろうとは違和感がありましたが、トリプル主人公でやってる時間的な制約を感じました。

音楽教室の夜逃げの子が、解散ライブを見にきていたのがほんとうに泣けました。いまでもピアノでつながっているんだと確信しました。

交通事故の展開だけは、かなり興醒めしました。この展開のせいで「謎に先に一人だけ代理出演したのも、これがあるからか」と、物語側の都合で轢いたんだなと、軽いなと、思ってしまいました。

そこ以外はすべて最高で、演奏中はずっと体が揺れていました。映画館で見たらもっともっともっと最高だったんだろうなあと、悔しくなるアニメーションでした。
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