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BLUE GIANTのKaitoのレビュー・感想・評価

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.8
原作漫画を読んでおり、劇場版も気になっていたので鑑賞。仙台から上京してきたサックスプレーヤーの宮本大(声の出演:山田裕貴)はある日ジャズライブハウスでピアニストの沢辺雪祈(声の出演:間宮祥太朗)と出会う。2人は気が合いジャズバンドを組むことになるが、ドラムがいない。大はドラムに居候をさせてもらっていた玉田俊二(声の出演:岡山天音)を推薦する。玉田はドラム未経験で雪祈から最初はこれでは無理だと取り合ってもらえなかったが毎日猛練習し彼らは遂に3人でジャズバンド”ジャス(THE JASS)”を結成する。小さなライブハウスから始まり、地域の音楽会など彼らは着実に場数を踏み実力をつけ、注目されるようになる。そして彼らは遂にジャズライブハウスの国内最高峰である『SO BLUE』での演奏を目指していくという物語。作品で重要となる音楽の担当はジャズピアニストの上原ひろみ。この映画を見てまず出てきた感情はやはり感動だ。何かを成し遂げようと全身全霊を捧げて努力する姿は人を感動させる。それは若い人もそうでない人であっても変わらない。正直言ってこの話のテーマがジャズでなくとも良かったと言える。(スポーツでも勉強でも何でも作れる)しかしながら私はやはりジャズを主題にしていることに大きな意味があると思う。若い人は特にジャズという音楽のジャンルさえ知らないという人が殆どだろう。そんなジャズの世界で若い3人が成長していく話となるとやはりジャズに興味を持たざるを得ない。現に私もその1人でこの作品を知る前までジャズを聴いたことは無かったがこの作品を見てからは頻繁にジャズを聴くようになりその度に彼ら3人を思い出してしまう。3人は年齢的にも私とほぼ同じくらいなのでまるで友人がしていることのように感じながらこの作品を見ていた。ジャズのように若い人たちに知られていない文化、分野は若い人たちが残そうというふうに動いていかないと将来的に必ずと言っていいほど無くなってしまうだろう。それではあまりにも悲しすぎるしやるせない。知らない分野、文化に関心を持つことの大切さを痛感した。アニメ映画でここまで涙腺を刺激される体験をしたのは初めてだった。最後雪祈がボロボロの状態でピアノを弾きにきた所は感動必至だ。この作品は青春を描いた作品である以上に人間と音楽が結ぶ縁のようなものさえも描いているのではと感じた。個人的には新生活が始まる春、今この時期に見るのがおすすめな作品だと感じた。見る際はハンカチの用意を忘れずに。
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