Kaito

トレインスポッティングのKaitoのレビュー・感想・評価

トレインスポッティング(1996年製作の映画)
4.8
U-NEXTにて見放題作品として配信されていたため、鑑賞。主人公のレントンは仲間と薬物をしてばかりの若い青年だった。友人から借りた自家製ポルノビデオを見て自分には女性関係が足りないと感じクラブに行って声をかけ、その子と一夜を過ごす。しかし彼女が学生と知るとレントンは彼女と距離を置くようになる。うまくいかない現実への対応として彼らは再び薬物を使用する。そうしているとある日彼らは薬物使用のため逮捕され、刑罰を受ける。それを機に彼は薬物を断とうとする。親の力も借りて彼はついに薬物依存を克服する。そして彼はロンドンの不動産会社で働くことになる。ある日強盗の指名手配になっている仲間のベグビーが彼の家に住み始める。彼は指名手配のため家を出れずレントンが彼の買い出しに行くこととなった。さらに他の仲間も住み始め呆れたレントンは彼らを会社が貸し出し人を探していた物件に住まわせる。しかしそれは会社の規則違反であり彼は会社をクビになる。トミーの葬儀のために彼らは地元のエディンバラに戻る。葬儀の後彼らは薬物の取引を行い大金を得る。その後彼らは成し遂げたことに対し達成感を感じる。そのあと彼らはホテルで眠っていたがレントンのみが早くに起床し取引で得た大金を持って今度こそは普通の生活をするぞと意気込んで歩いてゆくという話。人間は周りにどのような人がいるかということでその人自身がいかようにもなるというのが印象的である。レントンはおそらく根は真面目でいい子なのだろうけど薬物使用者の仲間と一緒にいたことで彼自身も良くない方向へ進んで行ってしまったのだろう。映像で印象的なのは薬物摂取による幻覚の描写である。レントンの場合は赤ちゃんが天井を這っているような幻覚だったのが特に印象に残っている。私自身薬物を使用したことがないのでどのような幻覚が見えるのかは学校の保健の教科書程度の知識しかない。そんな私が見ても薬物摂取による幻覚のヤバさは画面越しに確かに伝わって来た。薬物依存の更生の大変さも伝わって来た。途中レントンが不動産会社で働く辺りは希望が見えたのだがまた仲間が彼のもとにやってきて失敗。そして最後は自分から距離を置く。1人の青年の確かな成長である。すごい映画というよりかは印象に残る映画であると感じた。人間落ちるところまで落ちきっても、何回落ちても這いあがろうという強い意志があれば可能性は多いにある。現実社会で充実していればおそらく薬物なんて必要ないだろう。またタイトルの『トレインスポッティング』は薬物中毒を示す隠語であるというのも印象的だ。またこの作品は登場人物の心情に注目しがちだが背景となるスコットランドの社会情勢と彼らの行動との共通性にも注目したい。スコットランドの社会状況が彼らのような青年が出てくる契機になったということは否定できないだろう。薬物と薬物中毒である若い青年を扱った作品であるにも関わらず興行的にヒットし、人気があり鑑賞者に強い印象、影響を与えるのは前述したような事由があるからに違いない。
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