Stella

デリシュ!のStellaのネタバレレビュー・内容・結末

デリシュ!(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

フレンチのコース料理の始まりの映画。なのかなと思ったら世界初のレストランの始まりの映画とのこと。


始まりは高慢貴族のシーン
つけほくろとか変なウィッグが流行ってたのは滑稽ですね。近代の日本でも
つけ八重歯とか涙袋を書くのが流行ったりしてるから、時が経ったり、国が違うと何それ?っていうのあるもんね。

人の意見に合わせて、自分の舌を信じないなんて浅はかな公爵。謝らないマンスロンに拍手👏

それにしても司教みたいな人の食べ物に対する扱いは酷かったし、じゃがいもを含めた根菜は貴族の食べ物では無いっていう時代なんだね〜
じゃがいもは芽を取らないと毒があるから悪魔の食べ物というのは、若干納得ではあるけれども…



異国の土地の物ではなく、自分の土地の物を使った自分の創作料理を作りたい!という主人公の気持ちがいろんな意味で刺さる

今や、輸出入自由でどこでも他国の具材が使えて、同じような料理が溢れる便利になった世界に生きる私には、純粋で切なる願いにも見え、田舎あるあるの年齢的に保守的になった考えだとも思えた。

ただ、主人公の想いが明確で応援したくなる。


1人の力では成せない事も、3人よれば文殊の知恵。職人はすぐいじけたり、やさぐれても2人のアドバイスで復活して、アイディアが湧いてくるのはすごい。それを実現していく姿が見ていて気持ちがいい。


目を瞑らせて、味見をさせていくシーンは官能的でもあり、微笑ましかった。人に食べさせてもらうご飯は美味しいよね。それぞれ別のシチュエーションで食べさせるシーンがある。

一度目はマンスロンからルイーズへ。これは師匠から弟子へ。
その姿があまりにも愛らしくてキスをしようとするマンスロン。男って生き物は…うんざりするルイーズ。ルイーズの意志がしっかりとしていて、私はあなたに弟子入りしたのであって、娼婦でも彼女でも無いと態度で示すシーン。
その後猛省した彼は、態度を改め、ルイーズを弟子として、仕事のパートナーとして認めていく。

でも彼女には秘めた胸の内が…
食べ物をそういうことに使おうとしたのは師匠も許せず、破門!マンスロンはやけ酒からの落馬。よく怪我をする主人公。

怪我をしたマンスロンを支えるルイーズが、病人食をスプーンで食べさせるシーン。こんな風に弱ってる時に優しくされたら好きになっちゃうね。



露骨ではないけれど、ちょうどいいぐらいのボリュームで2人が心を通わせていく過程がある。ちゃんと修道院に迎えにいって、君が必要だと伝えられる彼はカッコよかったし、シスターの制止する姿は笑いが起こった。


最後のすかっとするハッピーエンドとそこからどんどん引きになっていくカメラワークで、こんな片田舎で起きた出来事だったんだよってめでたし、めでたし感を出しててそのシーンが超絶好きだった。

それもその後、仲良く食べ物を作りながら粉をかけあってるシーンも微笑ましかった☺️

全体的に食べ物が美味しそうで、私たちは見るだけだから、味は想像するしか無いけど、盛り付けありきの料理なんだなと思いました。

主演のグレゴリーさんは、料理人になりきることに熱心で、そのシーンで使われる料理を監修者から教えられた通りに作り、残さず食べていたそうです。素敵な役者魂。
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