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ラーゲリより愛を込めてのこーたのレビュー・感想・評価

ラーゲリより愛を込めて(2022年製作の映画)
3.8
凍てつくシベリアの空の下、過酷な状況下で最期まで希望を持つことを忘れず、自分らしく生き抜いた山本幡男と日本人捕虜たち。そしてその帰りを信じて日本で待ち続ける妻と家族。救われない運命の中で、人間らしく自分らしく生きることの意義を教えてくれるノンフィクション作品。
子供たちへ贈った、出世はどうでもいい。最後に勝つのは道義だぞ。と伝えたのは彼らしくいい言葉だなあと感じた。

第二次世界大戦が終戦する間際、満洲国で暮らす山本はロシアのスパイ容疑という有らぬ疑いにより25年の収容所生活を余儀なくされる。過酷な環境下の中で次々と仲間が死んでいく中、山本だけは希望を捨てずに行動していく。その姿は周囲の人をも感化し、日本人捕虜たちの希望と団結につながっていく。彼がいなければ19年もの拘束にはとても耐えらなかったのでは。山本自身は収容所内で咽頭癌を患い最期を遂げるが、彼の遺書と想いはそれぞれ妻を失った者、親を失った者など、4人がそれぞれに記憶に書き残し家族に伝えていく。特に妻へのメッセージは印象的で、最後の言葉に労いと感謝があるのは夫婦の関係性も垣間見えた。
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