TAK44マグナム

ヴァーチャル・シャドー/幻影特攻のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

3.7
君もVR戦士にならないか!


今年はVR(ヴァーチャルリアリティ)元年らしく、各社からヘッドマウントディスプレイ方式のVR機器が次々と発売され巷にあふれるようになりましたね。
そんなVRを秘密工作員の超短期養成のために利用するという、まさに時代を先取りしすぎた香港アクション映画が「ヴァーチャルシャドー/幻影特攻」であります!
因みにプロデューサーはジャッキー・チェン!

諜報活動での失敗が続いていたCIAは、その原因が戦闘能力の低さにあると考え、全く新しいシステムを作り上げます。
それは、人の深層意識に格闘技や戦闘経験を注入したり、電気信号で筋肉や運動神経を鍛えたりすることで、あっという間に、ただの事務方局員を007なみのスーパースパイに早変わりさせちゃうという、まるでキアヌ・リーブスが一瞬でカンフーマスターになれた「マトリックス」のような便利システムなのです。
出来上がった超人スパイはVR戦士と呼称されるのですが、VRぽくヘッドマウントディスプレイが使われるのはホンの少しだけ、仮想実戦訓練の時だけなのであまりVR感は伝わらず。
何でVR戦士と呼ばれているのかよくワカランのでした。
それこそ仮想現実の世界を描いた「マトリックス」なら正にVRですが、本作では現実的に超人化するわけで・・・。
そんななので、主人公たちがVR戦士化した後は近未来感もそこそこに、いたって普通のアクション映画でしかなくなってしまうのでした。


世界中で、深層意識の研究者が誘拐される事件が多発、犯人はエイリアンと呼ばれる謎のテロリストでした。
そんな頃、幼馴染のCS、タンゴ、ブルーの三人は揃ってCIAのVR戦士計画に研究者として参加していました。
CSの結婚式、楽しい時間を過ごす彼らの前にエイリアンが現れ、ブルーを拉致してしまいます。
CSの妻は射殺され、事態は最悪の方向に・・・。
ブルーを愛していたタンゴは彼女を取り返すため、そしてCSは復讐のためにホウ博士に自身のVR戦士化を志願するのでした。
施術をうけ強力な戦士となった二人は、香港に潜伏するエイリアンを強襲、無事にブルーを救出することに成功しますが、実はVR戦士には副作用があり、そこから事態は一変、三人の運命は大きく別れてゆくことになってしまいます。
哀しみを背負った二人の戦士と一人の女。
はたして、彼らの行く先には何が待ち受けているのでしょうか・・・?

本作は近未来を舞台にした明朗快活なヒーローものなどではなく、シリアスで暗〜い雰囲気の、ジメジメした復讐もの。
VR戦士無双か!というぐらい格好いい香港アクションは堪能できますが、本当に良い事が何も起きないうえに後味もよくないという、観るとアクション映画の爽快さよりも重苦しさだけが印象に残っちゃって困る映画です。
でも、なんだか嫌いになれないというか、細部がいい加減でテキトーな作りもお茶目だし、香港映画らしくハッタリの効かせ方も程よいあんばいというか、大雑把ながらも人間ドラマもアクションも適度な分量で混ぜ合わせてあって、「あれ?テキトーこいたのに意外と美味しく米が炊けたよ」的なところがよく分からないけれど一周まわって好きなんですよね。
とりあえずカッコ良さげなのつけておけみたいな邦題も好みだし、なによりブルー役のケリー・チャンが非常に(主に目力が)魅力的。
ケリー・チャンになら噛まれたい!
これ観ると、そう思えますよ。是非、VR戦士になって彼女を救いたいものです。そんでもってイチャつきたい。
イーキン・チェンが羨ましかった(苦笑)!

だいぶ昔に観て、自分もVR戦士になりたいと願ったものですが、現実にはまだそこまで技術は発展していませんね。
そもそも記憶に戦闘経験や技術レクチャーを移植すれば済むようなものなのか甚だ疑問ですけれど、これができるならプロのスポーツ選手のみならず、ありとあらゆるスキルが経験無しで手に入ってしまうわけでして、既存の社会自体が成り立たなくなる可能性も秘めているかと思います。
そうなると、みんながみんな懸命さを忘れて楽しちゃうだろうし、これは不可能ってことで良いでしょう。
副作用でキチガイだらけになっても困るしね(汗)!


※今回、ブックオフでサルベージしたので再鑑賞、再レビューとなります。


レンタルビデオ、セルDVDにて