んぎ

アウトサイダーのんぎのレビュー・感想・評価

アウトサイダー(1981年製作の映画)
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『ダムネーション』とちがって、まだスタイルが確立されていない初期作。しかしこれはこれで相当おもしろい。まずタル・ベーラ作品でカラーというのが違和感ありまくり。動物もぜんぜん出てこないしまさかの会話劇(会話が成り立っているわけではない)だし、以降の作品群と較べるとだいぶ俗っぽい。大半がバスト〜アップショットで構成されているのだけれど、全然カットバックしないし、切り返すタイミングも謎だし、急にふわっと遠景にフォーカスするし、このたどたどしさは狙ったものなのか。でも時おり挿し挟まれる引きの人物ショットには、愛すべき滑稽さが宿っていた。引きずられたり倒れこんだり歌ったり踊ったり。クソみたいな現実において人間が最後まで人間であろうとするための美しい抵抗の数々。あと濡れ場をしっかり官能的に撮っていて良かった。
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