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デューン 砂の惑星PART2のtakのレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
3.9
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による「砂の惑星」第2作。4年前の前作は、この複雑で壮大な復讐劇の登場人物たちと舞台を示し、断片的なイメージをチラつかせて2作目への期待が高める意味では、申し分のない完成度の作品だった。本作は、砂漠の民フレメンと合流した主人公ポール・アトレイデスが、父の仇であるハルコンネン家の面々に立ち向かうパートである。デビッド・リンチ監督版ではスティングが演じた残忍で危険なフェイドが登場し、ポールとの一騎打ちがクライマックスに登場する。

フレメンの民が信じる救世主伝説にポールと母ジェシカがうまくフィットして、少しずつ民の信頼を勝ち取っていく。アトレイデス家の生き残りがフレメンの伝説にうまく乗っかって利用しているとも言えるのだけど、一つ一つ試練をポールが乗り越えていく様子は成長物語のようでもあり、観客の気持ちも盛り上がる要素になっている。

キャストが豪華なアメリカ映画はあれこれあるけれど、単に人気者を使ったのでなく、役柄にマッチしたキャスティングがいい。映画の格を高めることに貢献している。ヴェール越しの顔しか見えないのに存在感あるシャーロット・ランプリング。ミステリアスな眼差しのレア・セドゥ。クリストファー・ウォーケンが演ずる皇帝は、貫禄だけでない人間的な弱さも感じられる。

それにしても圧巻なのはVFX。前作でも魅力的だったオーニソプターだけでなく、巨大な採掘機械や飛行物体、襲いかかる砂虫、大群衆…。金がかかった贅沢なこの映像を大スクリーンで楽しまないのはもったいない。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作は難解なイメージがあるけれど、観客の理解が追いつかないものをチラつかせて映画に引き込んでくれる作風は、本作でも発揮されている。復讐を遂げた先の第3作は、宇宙を巻き込む戦乱へと発展。ポールはもはやチャニィへの愛を口にする一人の男ではなく、さらに多くの人々の生死を左右する存在へと変わっていく。その行く末はポールが見たイメージ通りなのか?今から続きが気になる。
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