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もっと超越した所へ。のbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

演出自体は面白かったのだが、やっぱりどうにも感情移入できなかった。クズ男と付き合った女達が一斉に「出ていって!」と叫ぶシーンで、「あぁ最近はこういう"ダメな男"と"強い女"みたいな映画ばっかりだな」とちょっと辟易していたら、まさかの全員復縁エンド。「クズ男だって受け入れてあげればいいじゃない」タイプの"強い女"ものだった。いやこれ最早強い女じゃないな。男に依存しきった弱い女の極みだろ。

働きもせずに彼女の家に入り浸り元カノから振り込まれる金で彼女に弁当をおごりドヤ顔して彼女を束縛する菊池風磨、オカマ(この表現も嫌だった)なのに自分のことを好きだとわかっている女とスキンシップ過多で暮らす千葉雄大、風俗嬢相手に粋がって偉そうにするプライドだけ高い売れない役者の三浦貴大、相手の妊娠がわかると自分の人生が台無しになると怯えるオカモトレイジ。まじでどいつも碌なもんじゃない。

「"この人、お米持ってくれるから一緒にいるだけ、"と思えば多くは期待しない」なんて理由でクズと一緒にいて、本当に幸せか?多少嫌なところがあっても目を瞑ろうというのは百歩譲ってわかるが(そこも含め好きになれない時点で合わないと思うけど)、今作の男たちは圧倒的なクズだろ。登場時からハッキリとわかる"見えている地雷"案件じゃん。そうやって自ら依存して妥協して、どんどん不幸になっていくんだから世話ないわ。全員、一時の感情で盛り上がって結婚して子供作って、すぐに離婚しそう。ここまで弱い哀れな女を見せられるくらいだったら、よっぽど"強い女"の方がマシ。

前田敦子が凄く良くて驚いた。感情に任せてがなるシーンとか、怒りのあまり声が裏返ったりしていて、一人だけ圧倒的に良い。最初は菊池風磨が下手だから上手く見えるのかと思ったのだが、4人一斉に喋っていても上手いので、本当にビックリした。声が良いのかもしれない。

もとが舞台であることを活かしたメタなラストは圧巻だが、そこにカタルシスを感じられなかったので残念。結局なんだかんだいって女性はこういう男が好きなんでしょ?
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