完全ノーカットで撮影された、あるレストランのホールと厨房を舞台にした作品。
ワンカット撮影で全キャストが最後まで演じ切った点は確かに素晴らしい。しかし、驚くほど中身が無いに等しい。
メインシェフの心の闇を掘り下げるような描写もなく、過去の回想シーンがないため感情移入する余地がない。
ホールでは人種差別意識全開の客がトラブルを起こすかと思えばそうはならず、インフルエンサーに振り回される展開もない。
有名シェフの誘惑によってシェフとサブシェフの関係性が崩壊するのかと期待したが、何事もなく終わってしまう。
いくつもの伏線になりそうな事柄が中途半端なまま消化されず、エンドロールを迎えてしまった。最終的には、どの問題も解決しないまま作品が終わるという消化不良感だけが残った。