APACHE

アンビュランスのAPACHEのレビュー・感想・評価

アンビュランス(2022年製作の映画)
4.6
【アンビュラス】感想

DVDで観賞🎞

はじめに
久しぶりにアクション映画で素晴らしい作品に出会えたので、少し考察長めデス🤘

アフガニスタンからの帰還兵ウィルは、出産直後の妻が病に侵され、その治療には莫大な費用がかかるが保険金も降りず、役所に問い合わせてもたらい回しにされるだけだった。なんとかして妻の治療費を工面しようと、血のつながらない兄のダニーに助けを求めるウィル。犯罪に手を染めるダニーが提案したのは、3200万ドル(約36億円)もの大金を強奪する銀行強盗だった。計画通りならば、誰も傷つけることなく大金だけを手にするはずだったが、狂いが生じて2人は警察に追われる事態に。やむを得ず逃走用に救急車に乗り込んだ2人だったが、その救急車はウィルに撃たれて瀕死となった警官を乗せていた。乗り合わせた救命士キャムも巻き込み、ダニーとウィルはロサンゼルス中を猛スピードで爆走することになる。

強盗を働いた元軍人の主人公が、瀕死の警官を乗せた救急車で逃走劇を繰り広げる姿を描いたノンストップアクションで、2005年製作のデンマーク映画【25ミニッツ】のリメイク。

今時、銀行強盗⁉︎って思うけど、銀行強盗に至るまでの理由と状況が具体的で、リアルな心理合戦に引き込まれていき、終わった後、想像以上に感動してしまった。

地味に見えてる映画ポスターからは想像ができないほどの激しい作品だったけど、出だしは【ブレイブ・ハート】のメル・ギブソンに似てるだけで『メル』ってあだ名を付けられる強盗仲間や、ショーン・コネリーが【ザ・ロック】の中で言ったセリフを説明したのに、ザ・ロック違いでドウェイン・ジョンソンと間違えるジェネレーションギャップがあったりと、コミカルな会話で始まる。

そして、全編がクライマックスと言わんばかりに、とにかく激しくエッジの効いた映像満載のアクションシーンは、時速160kmで飛ぶFPVドローンが独特の角度で撮影していて、さすがはハリウッドの破壊王マイケル・ベイ監督。CGじゃない本物の爆発と実車での爆走で緊張感がハンパない‼︎

圧倒的なカーアクションは135分中の8割を占めているけど、全く飽きのこないカーチェイスに凄く立体感があり、誰にも止められないスピードとカメラアングルの技術で見せてくれ、その中で救急車車内での映像が45分もある人間ドラマで心を揺さぶってくる。

根っからの悪党ではない善人の弟ウィル役のヤーヤー・アヴドゥル=マティーン2世が家族を想い、ついた優しい嘘。

救急救命士キャム役のエイザ・ゴンザレスが綺麗でキリッとしてて、彼女が最後まで諦めないところに、より魅力を感じるいい女‼︎

そして、クレイジーな役柄をやらせたらこの人以上はいないダニー役のジェイク・ギレンホール‼︎
全く焦りのない表情と軽快な台詞回し。今回も悪役への徹し方が素晴らしかった。

兄のダニーと養子の弟ウィルの幼い日の回想シーンが何度も入り、二人の仲良しぶりが微笑ましく、異母兄弟ながら二人の絆の強さを教えてくれ、兄弟・仲間・相棒の信頼感が伝わってくる。

それぞれの役割と目的が明確で、救急車の中での人間関係が展開するドラマは、後に目から汗が出る伏線だ。

軍人、消防士、警官、救命士たちは人を救うため、どこまでも自分を犠牲にして多くの命を救うことを日々の務めとしていることがよくわかり、そんな犠牲の上で救われた命の重さを知る。

アクションと人間の心理描写が同じスピードで同時に進行していく、映像とストーリーの両面から完成度の高い作品でした。
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