ももも

ウーマン・トーキング 私たちの選択のももものレビュー・感想・評価

4.1
あまりに辛そうな映画なので観ることを躊躇していたけど、フェミニストさんたちのSNSで暴力的なシーンが出てこないと書かれていて、重い腰をあげて観てきた。結果観て良かった。

以前観た李相日監督の「怒り」で広瀬すずさんが米兵からレイプされるシーンが私は忘れられなくて。トラウマのように覚えているし、その時の彼女の気持ちを考えると悔しくて怖くて死にたくてたまらない。
でもあのシーンを映像として描く必要ってあったのだろうか。広瀬すずさんの心はきっとあのお芝居をすることで傷ついたのではないだろうか。何を伝えたくて敢えてあのシーンを入れたのだろうか、とずっと考えていた。

ウーマン・トーキングは、生々しいカットは少し入るものの、暴力的な性加害のシーンは出てこない。
なぜ出てこないのか。それは、(監督の意向は不明だが)もしこの作品が何かを「知ってほしい」何かに「変わってほしい」という目的の上に成立したものならば、そこを映像として表現することに意味がなかったからではないか。
それよりも女性たちが意思を持って投票という行為をしたこと、話し合いをしたこと、方針を決めたということ、その前向きな姿を描くことが、これからの私たちの社会にも求められているから、このような描き方をしたのではないか。

だから見終わった後もあまり暗い気持ちではなく、少し清々しさの残る後味だったのではないかな。
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