ももも

哀れなるものたちのももものネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

フェミニズム映画と聞いていたけど、その要素は含まれつつも、フェミニズムというよりかは人として生きるとはどういうことかを見つめさせられた作品だった。
女の人生とフェミニズムは切り離せないわけで。そこを分かってないから、ちょっとフェミニスト的なセリフなんかが出てきただけで「フェミ映画」とされてしまうんだなと。視野が狭いなと。

人間として生きるということは、知り、学び、考え、感じることだなと思った。
ベラは最初から身体は大人、脳は赤子という設定がユニークでおもしろい。だからこそ人として生きることの本質が描けているような気がした。

「知り、学び、考え、感じる」をするには自由が必要である。
自由を手にしてからの彼女は本当に生き生きとしていたし、また奪われそうになった時死守しようとしたその姿勢が頼もしかった。
誰かを失うことへの恐怖みたいなものが描かれていなかったけど、自由を奪われることへの恐怖は確実に芝居で表現されていて、そうか、自立するとはこういうことかと思わされた。

でも人間は弱いのである。
その弱さがもっとベラという人物を通して描かれていたらよかったな、と少し思った。
世間知らずなこと、自分の冒険心に忠実なことは、彼女を強くさせたし、自分を客観視させる材料になったかもしれないけれど、人は人間関係の中で弱さも出てくるものであるよと思った。
見終わったあとになぜかどうしようもなく切なくなってしまった。

衣装、美術、映像、芝居、どれをとっても素晴らしく、見応え満点映画でした。
ももも

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