はる

ウーマン・トーキング 私たちの選択のはるのレビュー・感想・評価

4.0
ほとんど前知識ゼロで観たのでかなりショックを受けました。実際の事件が元になってるって事は知ってたんですけど、コレいつ頃の話なんだろう?って観てたんですよね。そしたら中盤で"デイドリーム・ビリーバー"がかかるシーンでゾッとしました。ほんの十年そこそこ前にこんな事がまかり通っていたなんて未だに信じ難いです。

メノナイトに関して大した知識が無いので本作に限っての事しか分かりませんが、この集落で生きる女性にはあらゆる権利が無いんですよね。確かにレイプ事件の衝撃そのものも大きいのですが、「男に塩を取ってくれと頼んだことすら無い」といった彼女たちの当たり前のひとつひとつに驚かされながらもそれってこの集落の外にも全然あるよなと身体の力が抜けるような気持ちにもなりました。学ぶことすら出来ず、そもそもこうやって自分達で何かを考えて行動するのということすら許されていないであろう彼女たちがそれぞれの思想をぶつけ合い、答えを出すそのプロセスそのものに心を突き動かされます。

最近色々の映画でよく観るジェシー・バックリーはこういう演技も出来るのだと感心しましたし、フランシス・マクドーマンドの意外な配役にも驚きました。唯一の男性キャラクターであるベン・ウィショーも良かったですね。

この映画こそ『君たちはどう生きるか』と問われているような気持ちになりました。観ていてとても苦しい作品ですが、こういう作品こそ沢山の人に観て欲しいと思います。
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