竜平

ウーマン・トーキング 私たちの選択の竜平のレビュー・感想・評価

3.5
周囲から隔絶された地にある宗教コミュニティの村。そこで生きる女性たちが「とある事件」をキッカケにその場所に留まり闘うか、去るか、または何もしないか、選択を迫られることに、というところから始まる話。

人里離れた地で暮らすキリスト教の信徒たち、その中で起こるレイプ事件。コミュニティの男たちが女性に薬を盛り、意識を失っている間に行われていたという、しかもそれが女性たちに気づかれないまま何年にも渡って続けられていたという、とまぁこれは前情報を入れといたほうが楽しめそうな気がするから書いておくけども。で2010年にあった実話が基になっているとのこと。出演がルーニー・マーラや、『蜘蛛の巣を払う女』などのクレア・フォイ、『MEN 同じ顔の男たち』などのジェシー・バックリー、更にベン・ウィショーにフランシス・マクドーマンドなど。個人的にはこのキャスト陣に惹かれて鑑賞。今作はというと全編通して会話劇、場所もとくに変わらずで、そもそも動きの少ない映画が苦手な人には向かないかも。レイプ事件ということで、そんなのはそもそも凶悪だし許されないことなのは間違いないんだけど、このコミュニティの女性たちは読み書きができなかったり立場も極端に弱かったりして、闘うことも去ることも阻まれるような現状。犯人側よりも被害を受けた女性側が、キリスト教の信仰に関わる善行や赦しなどの議論の末に選択を迫られてしまう、という。人物たちが抱えるもの、深いところはわからないし共感の難しいとこもあるのは事実。だけど例えば自身の尊厳のため、例えば子供のため、どれが最善であるのかというのを見ているこちらもじっくりと考えさせられる。

キャストたちのバツグンの演技力や雰囲気もあるのかな、前述したように会話劇で場所もとくに変わらずメインの議題もずっと同じで、なのに、なんか見入ってしまう。得も言われぬパワーに満ちてる映画ではある。きっとキリスト教を信仰する人に一番届く内容なんだろうなと、日本人にはそこまで深く刺さらないような気がする。俺もまぁそんな感じでグッとくるポイントはあったもんで、このくらいの点数で。
竜平

竜平