ベビーパウダー山崎さんの映画レビュー・感想・評価 - 66ページ目

ベビーパウダー山崎

ベビーパウダー山崎

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)

3.5

ヘイリー・スタインフェルドがウディ・ハレルソンに愚痴りまくるオープニングの面構えと、ラストカットで見せる憑きものが取れたような清らかな表情の変化にグッときた。ラストは彼氏が出来てハッピーエンドというよ>>続きを読む

Mr.&Mrs. スパイ(2016年製作の映画)

2.0

定期的に作られるスパイコメディ、引っ越してきたスマートな夫婦が実は…平凡な夫婦が国際的な犯罪に巻き込まれて…とかベタな設定と見飽きた展開。グレッグ・モットーラって基本はキャラクターを繊細に描いてドラマ>>続きを読む

一匹の狼/ロンサム・コップ(1986年製作の映画)

4.0

孤独な刑事と娼婦。暴力とセックス。空っぽな80年代にノワールを撮るアラン・コルノー、メルヴィルに肉薄した瞬間はたしかにあった。車内から微動だにせず銃を構えるくだり。ナンパされてすぐにヤッてしまう娼婦を>>続きを読む

激動の昭和史 沖縄決戦(1971年製作の映画)

3.5

戦争と映画の相性の良さ。男も女も大人も子供も軍人も県民もみな死ぬ。血みどろになり手足がもげてこその戦争映画。天皇陛下万歳!

皆さま、ごきげんよう(2015年製作の映画)

3.0

映画のなか(世界)にしか洒落た人生賛歌などないのだと逆に教えられる。映画を見ている私たちの現実は醜くて苦痛で、妬みや貧しさでみな疲弊しているのに。

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

2.0

これがマイク・ミルズの自伝的な内容だとするならば、表現(作品)になっても未だ甘えた息子のために引っ張り出される母親が気の毒。どれだけ進歩的な思想を述べても、大人になりきれない男性にとって女性は都合のい>>続きを読む

ハーフネルソン(2006年製作の映画)

3.5

製作当初(2006)に見ていたら時代を掴みすぎる雰囲気(ドキュメンタリー風のキャメラとかも)に決まりの悪さを感じていたかもしれないが、10年寝かせてからだと当時の雑が許されたうえでの誠実さ(いまほど神>>続きを読む

甘き人生(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

生と死の曖昧さが映画をふらつかせている。向かう場所さえ定まらない中年男性の浮遊した物語(人生)は母の飛び降り自殺によって(自殺を受けいれて)ようやく「着地」する。どれだけ映画が散らばろうともエモーショ>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

2.0

音楽が誰よりもうるさい。漠然としたゴール(安易なメッセージ)だけが見えていて、明確な物語をあやふやにしている弱さを(終始鳴り響いている)劇的な音楽で取り返そうとしているしょうもなさ。かつてあった「戦争>>続きを読む

ドッグ・イート・ドッグ(2016年製作の映画)

3.5

死に対して感傷的になる時間さえ与えていない。気鋭の脚本家が年を重ね、いつのまにか台詞や物語ではなくチープな映像ギミックで映画を語るようになったのは間違いではないと思う。いくつになっても暴力やセックスと>>続きを読む

ありがとう、トニ・エルドマン(2016年製作の映画)

3.0

世界からはみ出ていそうな変人を、映画(エンターテインメント)の枠からははみ出さない程度に面白おかしく描いているので、誰も傷つけない一風変わった作品としてそれなりに評価はされるんだろうけど、「奇行」を善>>続きを読む

ラビング 愛という名前のふたり(2016年製作の映画)

2.0

どうにもならない状況下でそれでも強く生きる男と女、感情的であるはずの二人(の境遇)を、これが理性的な「今」の映画ですよと言わんばかりの抑えた演出で淡々と日常を垂れ流すジェフ・ニコルズ。怒りも悲しみもス>>続きを読む

ホームズマン/ミッション・ワイルド(2014年製作の映画)

4.0

当たり前のことを書いてしまうと、すでに見るべき映画など「老人」の表現ぐらいしかないわけで、現代的な作家の社会や政治に配慮した良質な作品などどうでも良くて(映画ごときで問題意識を持つことさえ無意味)、た>>続きを読む

こころ(1955年製作の映画)

2.0

『こころ』を立体化してもなお画で決めうちしてくる市川崑。時代を先取りした映像はすでに一周して古臭く、今では物語(キャラクター)の核を薄っぺらに処理しただけの通俗的な映画に見える。

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

1.5

アクション以外は棒立ちの役者がそのセット(舞台)に合わせた台詞を機械的に吐き出しているだけ。CGで描いた架空の役者にアフレコした紙芝居よりも酷い。いつものようにマシュー・ヴォーンの暴力的な描写は品がな>>続きを読む

鷲と鷹(1969年製作の映画)

3.5

川を渡りたい悪党と川を渡らせないとする村人。それだけの攻防で二時間弱。馬鹿馬鹿しい設定を勝手に決めて、そのルールにそれなりの役者を放り込み適当な映画を「でっち上げる」素晴らしさ。70年代はこういった雑>>続きを読む

ジェームズ・ディーンにさよならを(1978年製作の映画)

4.0

ゴスの彼女が夜の墓場で燃える、その異様な美しさ。若者の純潔とは愛する(愛される)者さえ傷つけながら振り切れていく痛みと哀しみであり、刻まれた傷跡が深ければ深いほど青春映画は輝きを増していく。良い映画だ>>続きを読む

タッチダウン(1977年製作の映画)

2.5

バート・レイノルズ、クリス・クリストファーソン、素晴らしい二人の役者がイチャイチャしながらダラダラ遊んでいるだけ。シナリオもあるんだかないんだかの底の抜けた緩さ。クリストファーソンの「自由」(解放)よ>>続きを読む

男の出発(たびだち)(1972年製作の映画)

4.0

『男の出発』のラストに流れるAmazing Grace。『ブルージーンズ・ジャーニー』のラストで流れるYou are my Sunshine。どちらも同じリズムで映画と音楽が解け合い、彼等はその先へと>>続きを読む

海軍横須賀刑務所(1973年製作の映画)

2.0

勝新と東映の食い合わせが悪い。いくつになっても生まれたての赤ちゃんのような明朗とした勝新と誰もが陰を背負い、その暗さに暴力的な光をあてる70年代東映の作風。うまくいくはずがない。

エル ELLE(2016年製作の映画)

2.5

ポール・ヴァーホーヴェンが主演女優に気を遣った(おそらく手を出していない)映画を撮ったの、はじめてじゃないのかな?まあだからこそ、つまらないシャブロル映画みたいな古臭い心理劇で終わっているわけですが…>>続きを読む

ガラスの動物園(1987年製作の映画)

3.5

室内劇で撮影がミヒャエル・バルハウなので、どこを切ってもファスビンダー映画の臭いが。テネシー・ウィリアムズの呪いのような原作、雰囲気は掴んでいる。

クリーン、シェーブン(1993年製作の映画)

4.0

ロッジ・ケリガン『Keane』も精神分裂病の中年がただひたすら哀しくてやりきれない映画でラスト号泣。

Day Is Done(原題)(2006年製作の映画)

4.0

ありふれた日常から文化に逃げ場を求めた普通の、結局は何者にもなれなかった人たちに「これは私のための表現だ」と勘違いさせてくれる電波と啓示。

|<